リサイクルショップチェーンなどを展開するハードオフコーポレーション(本社・新潟県新発田市)は、ハードオフの店内で流れているBGMのカバー楽曲が、著作権保有者の正式な許諾なく販売されていたと、2020年9月9日に公式ツイッターで報告した。
アーティスト側は楽曲の著作権侵害を認めた上でシングルの販売を差し止め、「多大なるご迷惑をお掛けしたことを深くお詫び申し上げます」と謝罪した。
著作権保有者はハードオフではなく...
ハードオフの店内BGMは、業務用向け音楽を手がけるナッシュスタジオ(大阪市)が著作権を持ち、音源として制作した「Nash Music Library/NSC-SC-1903」という楽曲。ナッシュスタジオのサイト「ナッシュミュージックライブラリー」で3300円で販売され、購入すればYouTubeやSNS動画などに使用できる。なお、同サイトでは楽曲のサンプル音源を聴くことができる。
今回、ハードオフコーポレーションはこの音源のカバー楽曲が、著作権保有者のナッシュスタジオの使用許諾なくネット上で販売されていたことを9日に公式ツイッターで伝えた。同社は著作権法で認められている範囲を超えての複製・改変行為が同法に違反するととともに、音源をイメージしたカバー・アレンジ作品を公開・販売し、利益を得る行為が重大な著作権侵害にあたると指摘。
その上で「著作権者である株式会社ナッシュスタジオ様にも多大なご迷惑をおかけすることになりますので、厳にお慎みください」「当社は同音源の著作権者ではありませんが、このユーザーとして、皆様へ今一度、適切なご使用のお願いを申し上げる次第です」と呼びかけた。
問題の楽曲は付録も「ハードオフ」づくし
楽曲をカバー・販売していたのは、アーティスト・あだち麗三郎さんによる音楽グループ「あだち麗三郎と美味しい水」。7月12日に7インチシングルレコードをHMVやタワーレコードのオンラインショップなどで販売したが、その表題曲が、ハードオフの店内BGMのインストゥルメンタルカバー楽曲「HARD・OFF 愛のテーマ」だった。
販売ページなどで使われているキャッチコピーは「HARD・OFFを愛する全ての人類に捧ぐ、あの人気店内BGMを完全生演奏!」。また、シングルの初回特典には「HARD・OFFとわたし」というタイトルの個人雑誌(ZINE)、あだち麗三郎さんの脚本「コント・ハードオフ(サンドイッチ風味)」が付属するなど、なにかと「ハードオフづくし」の作品だった。
あだち麗三郎さんは9日、自身の公式サイトで「株式会社ナッシュスタジオ様管理楽曲の無断使用と販売についてのお詫び」を掲載。シングル「HARD・OFF 愛のテーマ」がナッシュスタジオの著作権を侵害する形でリリースしていたことを報告した。あだちさんはナッシュスタジオ、そして屋号を無許可で引用する形になったハードオフコーポレーションに対して「多大なるご迷惑をお掛けしたことを深くお詫び申し上げます」と謝罪した。
今回の問題を受けた対応として、当該シングルの販売差し止めを実施。今後も自身のリリースした楽曲について著作権侵害に当たる楽曲の有無を確認し、該当するものがあれば販売停止・配信の差し止めを行うという。
あだちさんは最後に「この度の件につきましては、私の著作権ロイヤリティフリーに対する認識の誤りにより、このような事態に至りました。同様の事態を二度と起こさないよう、著作権の扱いについて認識を正し、楽曲の管理体制の強化をし、適切な著作権管理の元楽曲制作を行なっていきます」とした。