格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーションの機内で、マスクを拒否した男性客が大声で客室乗務員らを威嚇して途中で降ろされたトラブルの一部の様子がユーチューブ上に動画投稿され、様々な意見が寄せられている。
この男性客は、マスク着用や席の移動を求める乗務員らに独自の反論を繰り返していた。ピーチでは、マスク拒否ではなく、安全阻害行為があったため降りてもらったと説明している。
「どうしてマスクをしていないのか?」と別の客がただすと言い合いに
「ちゃんと乗っているはずだから、何も別に問題はないはずです」
同じ列にいるマスクをした客が迷惑そうに見る中で、この男性客は、通路にいるマスク姿の客室乗務員2人にこう説明した。男性客は、3席と通路を挟んで3席ある列のうち、左の3席の通路側におり、窓側の客との間には1席空いていた。
乗務員の1人が「周りのお客さまが...」と言い始めるが、男性客は、腕を組んだまま動こうとしない。
「お客さま、通路側に1名ずつ空いているところありますので、こちらに」
別の乗務員が言いかけると、男性客は、次のように反論した。
「席の移動はしません。これはもう、自分で席は発券されているわけですから。席は発券されて、それでまあちゃんと別にここにすでに座っているわけですから、私が移動することはもうありません」
これに対し、この乗務員が「指示に従わない場合は、そのまま降りて下さい」と伝えると、男性客は、「それは無理です」と即答した。
男性客は、要請は聞くが、必要な書類があれば書くと繰り返し、乗務員が別の席に移動するよう再度求めたところで、2分ほどの動画が終わっている。
各メディアの報道などによると、トラブルは2020年9月7日昼過ぎに起きた。
釧路空港発関西空港行きのピーチ機で、男性客に別の客が「どうしてマスクをしていないのか?」と離陸前に問いただしたことで、言い合いになった。
「ほとんどの客がマスク着用に協力、トラブルもなかった」
前出の動画は、仲裁に来た乗務員らが男性客にマスクを着用するか席を移動するか求めたときのやり取りのようだ。
このときは、男性客のいた3席と同じ列の3席にいた他の客らが席を移動し、ピーチ機は43分遅れで出発した。濃霧の影響で釧路への到着が遅れたのとマスクトラブルのためだ。
ところが、男性客は、その後「侮辱罪だ」などと大声を出して他の客と言い合い、仲裁の乗務員にも口答えした。マスク着用については、「非科学的だ」「書面を出せ」などと騒いだという。乗務員が男性客に警告書を渡しても、「やれるものなら、やってみろ」などと威嚇し、機長が機内の秩序を乱す航空法第73条の安全阻害行為と判断し、急きょ新潟空港に臨時着陸した。
空港では、男性客は乗務員の指示に従って機内から降り、ピーチの係員が男性客を引き継ぎ、新潟県警の警察官も立ち会った。
このトラブルで、関西空港に着いたときは、2時間15分遅れとなっていた。機内には、男性客以外には124人が乗っていた。
ツイッター上などでは、男性客について、「意見としては分からんでもない」との声も一部であったが、「ルールに従えないのなら乗るべきではない」「面倒くさそうな人。他の人の迷惑よりも、相手を論破することを優先してる」などと厳しい声が聞かれた。
男性客に対しては、損害賠償を求めたり今後の搭乗を拒否したりするのだろうか。この点について、ピーチの広報担当者は9月9日、「今決まっていることはないです」とJ-CASTニュースの取材に答えた。
マスクについては、着用をお願いしているものの、強制はしていないという。今回の措置は、マスクが原因ではなく、あくまでも乗務員がトラブルに付きっきりで業務に支障が出て、安全に運行できないと判断したためだとしている。
「マスクは、ほとんどのお客さまに着用の協力をしていただいており、これまでにトラブルはありませんでした。機内では、着用が基本ではありますが、小さなお子さまや熱中症や病気などが理由のお客さまは、着用していただかなくても大丈夫です」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)