プロ野球の巨人は2020年9月7日、甲子園で阪神と対戦し3-2で勝利した。2位阪神との直接対決で2勝1敗と勝ち越し、いよいよ独走態勢に入った原巨人。セ・リーグは巨人の優勝マジック点灯が秒読みとなったが、ここから逆転するチームは現れるのか。J-CASTニュース編集部は、巨人で戦略コーチを務めた野球解説者の橋上秀樹氏(54)に話を聞いた。
「阪神はよくやっていると思うが...」
セ・リーグのペナントレースは9月7日時点で巨人が首位に立ち、2位DeNAに8ゲーム差、3位阪神に8.5ゲーム差を付けている。巨人は9月1日からのDeNA3連戦で3連勝を飾って一気に突き放し、続く4日からの阪神戦でも勝ち越した。橋上氏は現在のセ・リーグの状況について「巨人を追いかけているチームが厳しい状況にあります」と前置きした上で、次のように語った。
「阪神はよくやっていると思うが、戦力的に考えるとこのあたりが目いっぱいかなという印象です。5割付近で精いっぱいかなという感じがします。現状、大きな貯金を作れるとしたら横浜だと思います。単純にいえば先発投手陣の頭数と質です」(橋上氏)
橋上氏が巨人追撃の一番手とするのがアレックス・ラミレス監督(45)率いるDeNAだ。ただし橋上氏がDeNAの逆転優勝の「条件」とするのが、戦線離脱中の選手がグラウンドに復帰すること。戦力が十分に整わなければ、巨人を逆転するのは厳しい状況にあると指摘する。
「このままでは巨人の一人旅になってしまう」
現在、野手ではタイラー・オースティン外野手(28)が8月5日に出場選手登録を抹消され、投手陣ではエース今永昇太投手(27)が8月16日に左肩の違和感で出場選手登録を抹消。これに続いて20日には平良拳太郎投手(25)が背中の違和感で登録抹消となった。一方で右足首捻挫で離脱していた坂本裕哉投手(23)が8日の阪神戦で復帰を予定しており、約2カ月半ぶりの登板となる。
「あえて追撃出来る可能性を考えれば、離脱した選手が早めに戻ってきてくれるということ。これが大前提となる。巨人がDeNAを追いかけるという立場なら違ってくるが、逃げているチームの戦力が整っており、追いかけているチームの戦力が欠けてきている。外国人選手が機能していないのは想定外だと思うが、このままでは巨人の一人旅になってしまう」(橋上氏)
また、橋上氏は9月7日に発表された澤村拓一投手(32)と香月一也内野手(24)のトレードについて言及。シーズン中盤に行われた交換トレードの「意味」を解説した。
「巨人は常にチームの活性化を念頭において編成している。いい意味で選手が安心出来ないような状況を作ってチーム内の競争を常に活発にしている。その一旦が今回のトレード。澤村投手に環境を変えてあげたいという球団の配慮もあると思う。もともと緊張感を持っているチームなので、さらにこれから佳境に入ってくるところで引き締め効果があると思う」(橋上氏)