那覇空港の第2滑走路は「沖縄振興策」か「基地負担軽減」策か
二つ目が、3月26日に運用開始した那覇空港の第2滑走路の位置づけだ。菅氏は出馬会見で、辺野古移設で普天間飛行場の危険除去ができることや、普天間飛行場の跡地が日本に返還されることなどに言及した上で
「私自身、沖縄基地負担軽減担当大臣になったときに始めたのが、沖縄の第2滑走路の建設だ。このことも先般、完成したのではないか」
と述べた。
沖縄基地負担軽減担当相は14年9月に新設されたポストだが、第2滑走路の着工は、それより半年前の14年1月。埋め立てに必要な環境影響評価(アセスメント)の手続きは、民主党政権だった10年に始まっており、12年1月の衆院本会議で、野田佳彦首相(当時)が「引き続き、その手続を着実に進めてまいります」と述べている。このように、第2滑走路の事業は、少なくとも菅氏が始めた事業ではない。さらに、18年6月の「経済財政運営と改革の基本方針」(いわゆる「骨太方針」)では、
「日本経済再生の牽引役となるよう、国家戦略として沖縄振興策を総合的・積極的に推進する」
施策の一環として言及されており、基地負担の軽減策として位置づけられているわけではない。なお、沖縄振興策の担当は、衛藤晟一沖縄担当相だ。
9月3日の会見では、この点について
「基地のあり方と沖縄振興をリンクさせる、関連付けて位置づけていると聞こえる。沖縄振興の趣旨が変わってくるのではないか」
と指摘され、菅氏は「結果的にはリンクしているんじゃないでしょうか」。第2滑走路が基地負担の軽減策の一環になりうるとの見方を示した。振興策と基地問題をリンクさせることは露骨な「アメとムチ」につながるとして、批判が根強い。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)