銀行大手が検討開始の「小口決済インフラ」は、本当に必要なのか?

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「小口」の定義があいまい。主目的は銀行系アプリとの安価な接続か

   プレスリリース中に示されているイメージ図(上図)では、銀行系決済サービスアプリと銀行ダイレクトアプリとの接続が主役になると読み取れる。それ以外の決済サービスは「連携も検討」する程度の記述になっている。

   銀行ダイレクトアプリとは、スマホで銀行振込や残高照会、ローンの申込などができるアプリをいい、銀行系決済サービスアプリとは、銀行やその関係会社がサービスを提供している決済アプリで、Bank Payのようなアプリをいう。

   すでに日本の銀行間での決済インフラには「全国銀行データ通信システム」。通称全銀システムが稼働している。他行間での銀行振込を行ったときに銀行が決済データを授受するために使うシステムである。このシステムに銀行系決済サービスの接続を行って、小口決済でも運用ができるようにコスト削減を図ったほうが、余計な決済システムが増えない分、合理的ではないだろうか。

   また小口決済の「小口」の定義もあいまいだ。例えば銀行系決済サービスアプリの一つである「J-Coin Pay」は送金の最大上限は1日当たり25万円となっている。一般個人が生活を営む上で日常的に25万円を毎日支払うことはありえないが、家電量販店で冷蔵庫を買ったり、ホームセンターで家具を揃えたりする状況ではありえる額だ。したがって直感で「小口」と聞いて思い浮かぶ小銭のカタマリ以上の金額も決済できないと、キャッシュレス社会で邪魔者扱いされてしまう。

   そのため小口決済システムを正確に呼称すると「銀行系決済アプリ相互接続システム」と言ったところだろうか。銀行口座から送金できる銀行ダイレクトアプリと、全銀システムに接続していない銀行系決済サービスアプリとを相互につないで送金を行うのが目的で、検討の対象として銀行以外の決済サービスアプリも含まれているに過ぎない。

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