破綻レナウンから5ブランド引き受ける 創業300年超の「小泉」はどんな会社?

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   経営破綻したアパレルの「名門」レナウンは、目指していた一括譲渡が叶わず事実上解体される方針が決まった。主力の5ブランドと子会社1社は切り売りされるが、大半のブランドは買い手が見つからず、そのまま消滅する。法人としてのレナウンは清算となる方向だ。レナウンのように百貨店を主な販路としていたアパレル大手はいずれも販売が苦戦しており、レナウン破綻はアパレル業界の「終わりの始まり」になってしまうのか。

   切り売りされる5ブランドは、紳士服の「ダーバン」「スタジオバイダーバン」、英国発祥の高級ブランド「アクアスキュータム」、婦人服の「シンプルライフ」「エレメントオブシンプルライフ」。民事再生手続きを管理する裁判所での手続きを経て、大阪市に本社があるアパレル企業「小泉」のグループ会社に売却される。また、子会社で機能性肌着を扱う「レナウンインクス」については、ストッキング大手のアツギに売却することも決まった。

  • レナウン公式サイトより
    レナウン公式サイトより
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レナウン「グループ全体」の再建は断念

   レナウンはかねてからの販売不振に加え、新型コロナウイルスの感染拡大によって百貨店での売り上げが急減したため、2020年5月に経営破綻した。当初はスポンサー企業を見つけてグループ全体を存続させる形で再建を進めようとしていた模様だが、もはやレナウン全体に価値を見いだすスポンサーは登場せず、その方針を断念。事業やブランドごとに切り売りして、少しでも債務を弁済する方向に転換せざるをえなかった。8月20日にアツギへの売却、翌 21日に小泉グループへの売却を発表した。「アーノルドパーマータイムレス」や「インターメッツォ」などブランドの大半は買い手が見つからなかった。かつて日本一のアパレル企業として一世を風靡したレナウンは、これで120年近い歴史を終えることになる。

   レナウンに限らず大手アパレル企業は、販路としてきた百貨店の販売低迷や、ユニクロを筆頭とする手ごろな価格帯のブランドの台頭により、コロナ流行前から構造的に経営が悪化していた。名の知られた大手アパレル企業は、もはやレナウンのスポンサーになるだけの余力を持ち合わせていないということだろう。そんな中でも、レナウンから5ブランドを引き受ける小泉とは、一体どのような企業なのだろうか。

揺らぐ存在意義

   近江(滋賀県)の麻布商として始まり、創業300年を超える小泉。現在は持ち株会社の小泉の傘下に、量販店向け婦人服を手掛ける「小泉アパレル」、百貨店向け婦人服・紳士服の「オッジ・インターナショナル」などの企業群を抱え、小泉グループを形成している。5ブランドのうち「シンプルライフ」「エレメントオブシンプルライフ」は小泉アパレルが引き取り、残りの3ブランドはオッジ社が譲り受ける。

   小泉が経営破綻したアパレルからブランドを引き継ぐのは、これが初めてではない。2009年には小杉産業からカジュアル衣料の「ゴールデンベア」ブランド事業を引き継ぎ、事業として復活させた実績がある。小泉グループの植本勇会長は新聞社の取材に対して「いいブランドは、こういう時でないと手に入らない」と話しており、5ブランドの買収額がゴールデンベアの買収額より安かったことも明かしている。

   在宅時間が伸びるコロナ禍の下では着飾る服装の需要が減り、かつてのファッションブランドの存在意義は揺らいでいる。大手アパレル企業は一層厳しい経営判断を迫られている。

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