揺らぐ存在意義
近江(滋賀県)の麻布商として始まり、創業300年を超える小泉。現在は持ち株会社の小泉の傘下に、量販店向け婦人服を手掛ける「小泉アパレル」、百貨店向け婦人服・紳士服の「オッジ・インターナショナル」などの企業群を抱え、小泉グループを形成している。5ブランドのうち「シンプルライフ」「エレメントオブシンプルライフ」は小泉アパレルが引き取り、残りの3ブランドはオッジ社が譲り受ける。
小泉が経営破綻したアパレルからブランドを引き継ぐのは、これが初めてではない。2009年には小杉産業からカジュアル衣料の「ゴールデンベア」ブランド事業を引き継ぎ、事業として復活させた実績がある。小泉グループの植本勇会長は新聞社の取材に対して「いいブランドは、こういう時でないと手に入らない」と話しており、5ブランドの買収額がゴールデンベアの買収額より安かったことも明かしている。
在宅時間が伸びるコロナ禍の下では着飾る服装の需要が減り、かつてのファッションブランドの存在意義は揺らいでいる。大手アパレル企業は一層厳しい経営判断を迫られている。