井上尚弥が「敵国」豪州メディアで絶賛される理由 背景には「2人のレジェンド」との縁が

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   ボクシングのWBA、IBF世界バンタム級王者・井上尚弥(27)=大橋=をオーストラリアメディアが絶賛している。

   海外専門メディアによると、今秋にWBA同級3位ジェーソン・モロニー(29)=オーストラリア=との防衛戦を計画しているとされる井上だが、モロニーの地元オーストラリアメディアが早くも井上にフォーカスした記事を掲載。世界の「モンスター」に最大級の評価を与えている。

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井上は「ファイティング原田の再来」

   オーストラリアメディア「news.com.au」(電子版)は2020年9月4日、井上VSモロニー戦の正式発表を待たずに世界戦の展望記事を掲載。記事ではオーストラリアと日本の伝説的なボクサーを登場させながら、井上とモロニーの実績などを紹介しており、両者の戦いは「オーストラリアのスポーツファンにとって非常に興味深いものになるでしょう」としている。

   記事内の井上を紹介するくだりでは、ファンから「モンスター」と呼ばれ、19試合中16試合でKOした井上の強打を「残忍なパンチ力」と表現。さらに米国の老舗専門誌「リングマガジン」のパウンド・フォー・パウンド(PFP)で3位にランクされていることも紹介し、日本の伝説的ボクサーである元世界フライ級、バンタム級王者ファイティング原田の再来と評価している。

   プロデビュー以来無敗で世界3階級を制覇した井上の実力は世界的に評価されているものの、「敵国」のメディアがなぜ井上をここまで称賛するのか。それは井上が保持する2本のベルトに由来する。現在、井上はWBAとIBFの2つの王座を保持している。このWBAとIBFのバンタム級王座は、オーストラリアのボクシングファンにとっては特別なものだという。

モロニーは試合1カ月前に米国入り

   1968年2月、オーストラリア出身のライオネル・ローズがファイティング原田の持つWBA、WBC世界バンタム級王座に挑戦し、判定で王座を獲得した。「news.com.au」によると、ローズがタイトル獲得後に凱旋した際に約10万人が通りを埋め尽くし、新王者を出迎えたという。世界2階級制覇の日本のレジェンドを破りオーストラリアに世界王座をもたらしたローズは伝説的な存在となっている。

   もうひとつの王座であるIBFのベルトは、かつてジェフ・フェネック(オーストラリア)が保持していたもので、オーストラリアのボクシングファンにとって愛着のある王座だ。フェネックはバンタム級、スーパーバンタム級、フェザー級の世界3階級を制した英雄でプロ20戦目での世界3階級制覇は当時の世界最速記録。これまでの実績もさることながら、2人のレジェンドのベルトを継ぐ井上はリスペクトの対象となっている。

   「news.com.au」によると、モロニーは今月下旬にシドニーに向かい、1週間ほどハードなスパーリングをこなし、少なくとも試合の1カ月前には米国入りするという。今秋にも対戦が見込まれる井上とモロニー。今後、オーストラリアで「モンスター」の注目度が上がっていきそうだ。

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