新型コロナ禍も影響、あふれる「パパ活始めようと思います」
特殊詐欺より前に、こうした取り組みを始めたのが愛知県警少年課だ。未成年が金銭を受け取って代わりに性行為などに応じる「援助交際」や「パパ活」を防ぐため、18年10月から始めた。「#P活」や「#セフレ」などのキーワードでツイッター上を検索し、アカウント主の居住地か相手と会おうとする場所が愛知県内であれば、警告メッセージをリプライしている。
新型コロナウイルスの拡大の影響もあり、20年4月から5月にかけては「援助交際」を募るツイートが増えたという。愛知県警では次のようなツイートを確認している。
「コロナの影響で学校休みになってかまってくれる人がいないから、性欲爆発しそうです」
「バイトがコロナの影響でなくなっちゃいました なので名古屋付近でパパ活始めようと思います」
「学校なくて時間あるけどお金ないから買いたいもの買えない」
こうした投稿に対し、愛知県警は20年7月末までに2725件の警告メッセージを書き込み、投稿やアカウントはほぼ100%削除されているという。
「ツイッター社にも協力していただき、私どもが警告メッセージと警告画像を貼り付けたアカウントはほぼ削除されたり凍結されたりしていますし、アカウント主が自主的に削除した例もあります。こうした取り組みの効果もあり、開始した頃に比べて疑わしいツイートは半分ほどに減りました」(愛知県警少年課の青山義弘次長)
かつてはSNSなどを通じて「援助交際」などをしようとしていた少女らと実際に接触し、補導する取り組みも行っていた。ただ、実際に接触するのは手間と時間がかかる一方、警告メッセージの投稿なら素早く網羅的に「犯罪」を未然に防げるため、次第にこちらにシフトしたという。
疑わしいツイートを見つけ出すのは、検索するキーワードなども重要だという。「当課では、若い捜査員を中心に検索の業務をやってもらっています。やはり彼らはSNSに関する知識も最近の若い子らのトレンドにも詳しい。検索して問題ツイートを見つけ出すセンスもいいです」(青山次長)
「パパ活」などへの警告メッセージについては、愛知県警や警視庁など13都道府県警が先行で実施していたが、効果が高いため、警察庁が20年1月に全国の警察で対策を講じるよう指示した。特殊詐欺についても全国で初めて実施した愛知県警に次いで福岡県警や大阪府警など各県警が同様の試みを始めている。