事実を淡々と伝えた「地元ウェブメディア」
事実を淡々と、かつコンスタントに報じたのは「練馬経済新聞」。みんなの経済新聞ネットワーク(みん経)に加盟するニュースサイトで、「広域練馬圏」の情報を伝えている。地元住民の立場から、いくらでも「エモく」できたはずだが、
「としまえんで最後の週末 閉園を惜しむメッセージ集まる」(8月30日)
「としまえん、今日閉園へ 『ついにこの日が』最後の別れに多くの来場者」(8月31日)
「ありがとう『としまえん』 94年の歴史に幕」(同日)
といった記事は、極めてオーソドックス。アクセスランキングは、関連記事一色となった。
かくいう筆者も「としまえんっ子」だった。大人になってからも、アイススケートですりむいたり、フライングカーペットで力みすぎて足がつったり、いろいろお世話になってきた。コロナ禍もあって、閉園発表後に行くのは諦めたが、ウェブ記事をめぐると、追体験できた気がする。
折しも昨今、ウェブ記事への筆者感情の織り込み方が、話題になっている。ポリティカル・コレクトネス、コンプライアンス、そして正義感......。そうした世情のアレコレを一切考えなくてすむ、としまえんの「エモ記事」は、残暑のちょっとした清涼剤になった。
(J-CASTニュース副編集長 城戸譲)
【J-CASTネットメディア時評】
いまインターネットでは、なにが起きているのか。直近の出来事や、話題になった記事を、ネットメディアの「中の人」が論評します。
城戸譲 J-CASTニュース副編集長
1988年、東京生まれ。大学でジャーナリズムを学び、2013年ジェイ・キャスト新卒入社。Jタウンネット編集長などを経て、18年10月より現職。「ニュースをもっと身近に」をモットーに、政治経済からエンタメ、生活情報、炎上ネタまで、真面目とオモシロの両面で日々アンテナを張っている。ラジオとインターネットが大好き。(Twitter:@zurukid)