新型コロナウイルスの感染拡大で経済的な苦境が続く中、エアコンや洗濯機などの白物家電がここのところ好調な売れ行きを見せている。日本電機工業会が発表した2020年7月の白物家電の国内出荷額は、9カ月ぶりにプラスとなった6月に引き続き、2カ月連続で前年実績を上回った。感染防止から家で長い時間を過ごすための「巣ごもり需要」が後押ししたとみられている。ただこの好調ぶりが長続きするかについては「先行きは不透明だ」との見方も強い。
8月25日の工業会発表によると、7月の白物家電の国内出荷額は、前年同月比12.5%増の2713億円と2ケタの伸びとなった。製品別でみると、ルームエアコンが18.7%増の1143億円で2カ月連続のプラス。冷蔵庫が8.1%増の496億円、洗濯機が13.0%増の376億円で、いずれも3か月連続のプラスだった。
エアコン、大型タイプ洗濯機、高機能調理器具...
梅雨が長引き、気温が低かったものの、ルームエアコンが伸びたことなどについて、同工業会は「在宅期間が増えたため」と説明する。家の中で快適に過ごそうという姿勢はコロナ禍でトレンドとなっている。外食や旅行がなかなかできないため、その分を快適な生活のために投資しようという積極的な動きも目立っている。
また、これまで洗う機会の少なかったふとんや毛布なども、ウイルス対策から洗濯したいというニーズが増えている。大型の洗濯機を設置するコインランドリーは大勢の客でにぎわうケースもあるなど盛況だが、家電についても大型タイプの全自動洗濯機が売れ筋になっているという。
一方、外食を控えたり、テレワークのため出勤する機会が少なくなったりして、家で食事をする人が増えており、調理器具は特に好調だ。「おいしく料理するためなら、高くても構わない」(東京都内の女性会社員)と、高額の調理器具をためらわず買い求める人は少なくない。家電でもジャー炊飯器はご飯がおいしく炊けるなど高機能製品の割合が7割超に上っているといい、7月のジャー炊飯器の出荷数量は22.1%増の46万個(金額では6.8%増の86億円)と大きく伸ばした。