これまで「不満」が出てこなかった理由
これまでアプリ事業者が、アップルやグーグルなどの巨大IT企業に対し、手数料の不満を訴えることはほとんどなかった。「異議を唱えれば、配信市場から排除されかねない」(アプリ業界関係者)と恐れているためだ。
しかし、エピックのように世界中にユーザーを抱え、影響力を高めているアプリ開発業者が公然と反旗を翻したことは、巨大ITとそのプラットフォームを利用する業者との力関係が変化しつつあることの表れといえる。アップルに対しては、米欧有力メディアでつくる業界団体「デジタル・コンテンツ・ネクスト」も8月20日、手数料のしくみを明確に示すよう求める書簡を送った。
米国では、巨大ITに対する規制強化の機運も高まっている。米下院は7月下旬、アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)らIT大手首脳を呼んで独禁法に関する公聴会を開いたが、この場でもアップストアの「独占」問題はやり玉にあがった。
アップル包囲網が狭まる中、「バトル」の軍配はどちらに上がるのか。日本のアプリ開発事業者への影響も大きく、「アップル税」の今後が注目される。