北海道函館市の工藤壽樹市長は2020年9月4日、地元出身の人気ロックバンド・GLAYの恵山での無観客コンサート撮影に関する一部メディアの誤った報道について、「GLAYの名誉が大きく傷つけられた」「地元としてとても残念なこと」とするコメントを発表した。
同コンサート撮影をめぐっては8月18日、函館新聞が「無許可で撮影」と報じたが、同紙は8月21日にこれが誤りだったとお詫びした。9月2日には社内検証を実施したとして、誤報の原因や経緯について詳報していた。
函館新聞が検証記事を公開
GLAYは8月12日、「GLAY野外無観客ライブ in函館・恵山」と題して活火山の恵山道立自然公園で無観客のコンサートを実施し、YouTubeで配信した。このコンサートについて同18日、函館新聞(電子版)が「許可申請をせずに撮影していた」などと報じ、騒動になった。
だが同21日に函館新聞は、この「無許可で撮影」という情報は誤りだったとしてお詫び文を出した。実際に道の許可が必要なのは「撮影」でなく「ステージなど工作物設置」であると訂正。元の記事で「収録について事前に申請や相談は来ておらず」としていた点も、「収録について事前にドローンの飛行計画などの提出はあったが、工作物設置の申請はなく」の誤りだったとした。
その後9月2日、同紙は「道立公園内音楽ビデオ撮影の記事に関する社内検証/周辺取材不足のまま掲載 誤ったイメージ与えおわびします」の見出しで検証結果を詳報した。
まず「無許可撮影」という記事になったのは、「この件に関する情報を入手した記者は、道立公園を管理する渡島総合振興局を取材した際、道から得る必要のあった許可が工作物(簡易ステージなど)の設置に関する行為だったにもかかわらず、撮影行為自体であると受け止めた」ためだと説明。「この部分は確認不足による不正確な表現であり、8月21日付で訂正とおわびの記事を掲載しました」と振り返った。
さらに制作側から「申請や相談はなかった」としていた点についても、同紙は複数の関係者に聞き取りを実施。その結果、動画制作会社が函館市を通じて事前調査しており、「市恵山支所から許可申請に関する助言を受け、それに基づき国有林の入林などの申請がなされ、許可されていた」ことが分かったという。そのため、「工作物の設置については、工作物そのものに対する解釈に誤解はあったものの、『相談はなかった』との部分は誤りでした」と改めて訂正した。制作会社の代表は「手順を踏んで手続きを進めていたつもりだったが残念」と話しているという。