サッカーJ2・栃木SCのFWエスクデロ競飛王(せるひお)(32)が「差別」を受けたとして怒りを表している。2020年9月3日、ツイッターで自身に起きたことを書き込むと反響が広がった。
競飛王はもともとスペインとアルゼンチン国籍を持っていたが、日本と縁が深く、07年に日本国籍を取得。日本代表入りにかける思いも強い。
「本当見た目とか外国人っていうだけで差別はやめてほしいです」
競飛王はツイッターで「僕は国籍をもった日本人です。日本語を学んでいます。僕が外国人だからというだけで、彼は僕を呼び止め、僕が法に反していないか調べました。こんなことは書きたくないけど、変わってほしい。ありがとう」(原文スペイン語)と、いわれもなく警察に止められたと書いた。さらに
「血は日本人じゃないかもしれないけど、中学2年から日本に居て海外行ったりしたけど、両親も姉もみんな日本で生活して日本が大好きです。僕も日本が大好きです。本当見た目とか外国人っていうだけで差別はやめてほしいです」
と日本語でも訴えた。
競飛王はアルゼンチン出身の父がJリーグ草創期の浦和レッズに在籍していたことから、幼少期を日本で過ごしている。その後一度アルゼンチンに渡ったが、ジュニアユースから浦和に所属し、16歳だった05年にトップチームデビュー、12年まで浦和でプレーした。韓国・FCソウルや中国・江蘇蘇寧を渡り歩いた後、16~19年は京都サンガに在籍し(18年は蔚山現代に期限付き移籍)、20年から栃木に所属している。
人生の半分以上が日本暮らしだが、差別と感じる経験をしたことは「19年間で家族含めて数え切れないですよ」と、今回ツイッターで他のユーザーからの質問に答えている。今回呼び止められたのは、「日本人が五人と外国人1人が最寄りの駅でほとんど毎日使ってる駅でタクシー待つのに並んでいるのに、外国人登録とか免許証を見せてって言われるのは何故ですか?」と、毎日利用している駅前でのことだったという。
「日本語しゃべってるのに...」
別のユーザーから「あなたに問題がなければ素直に応じれば良い。そうすれば警察官も優しく対応してくれる。気に入らないことを何でも差別に結びつけるのは日本人への逆差別です」と指摘されると、競飛王は、
「あなたは19年間そいう経験してきたのでしょうか?だからそいうふうにいえるんですね。今はコロナでマスクしないといけない世の中で怪しく見られてしまうのもあると思うんですけど、そうじゃなくてもここに書ききれない方ど嫌な思いをしてるからかいたんですよ? 一度取り調べされたから書いたと」「思いますか? 同じ経験したのならその発言は受け入れますよ」(原文ママ)
と過去苦い経験をしてきたことを吐露した。それでもさらに反論されると、
「サッカー選手と言ってるのに車の隅々までさらべられて、薬かくしてるか、日本語しゃべってるししゃべってるのにスペイン語の通訳呼ばれて2時間ずっと車しらべられてけいパトカー四台と20人以上の警察官がきて、何もないのをわかったら最後にベルト裏と靴の中と時計の後ろを調べて」「協力ありがとうございますもなく当たり前の事をしてるんだって顔で帰っていって、それが19年間続いてるんですよ。そう経験が何度も何度もあるんですよ?」(同)
と不満を隠さなかった。
競飛王が日本国籍を07年に取得した大きな理由は、日本代表入りの夢を叶えるため。実際、08年北京五輪世代のU-23日本代表に選出されたことはあるが、北京行きのメンバーに入ることはできなかった。A代表の選出経験はないが代表への思いは強く、ツイッターでも代表入りを目指していることを何度も発信している。
強靭なフィジカルで相手に囲まれても突破できる力強いドリブルを持ち味としており、ゴールを量産したソウル時代は「重戦車」とも評された。前線の選手として貴重なタイプであることも相まって、惨敗に終わった14年ブラジル・ワールドカップ(W杯)後は国内のスポーツメディアでも日本代表に推す記事が何度か出た。
冒頭の「血は日本人じゃないかもしれないけど―」の投稿には、ボタフォゴ(ブラジル)の元日本代表MF本田圭佑(34)も「いいね」をつけている。競飛王は本田の兄・本田弘幸氏と代理人契約を結んでおり、本田本人とも交流がある。
血は日本人じゃないかもしれないけど、中学2年から日本に居て海外行ったりしたけど、両親も姉もみんな日本で生活して日本が大好きです。
— エスクデロ 競飛王 (@chacarita151) September 3, 2020
僕も日本が大好きです。
本当見た目とか外国人っていうだけで差別はやめてほしいです。