乃木坂46の3期生は、2020年9月4日で加入4周年を迎えた。
オーディションに合格した12人は、4年間1人の卒業者も出さずに在籍している。これだけでもグループアイドルとして極めて珍しく、4年にわたって卒業者を出さなかった期は、坂道グループ(乃木坂46・欅坂46・日向坂46)でも他にはない。ここまで順調に歩んできた3期生メンバーが作ってきたグループカラーと、在籍期間にまつわる「法則」を考察した。
楽曲に見える期ごとのカラー
乃木坂46・3期生のオーディションは2016年夏に行われた。当時乃木坂46は2011年の結成以来活動6年目、「AKB48の公式ライバル」から独り立ちして独自のブランド力を持ち「黄金期」に差し掛かっていた。
これが3期生にとってのひとつの幸運だろうか。かつてAKB48とメンバーの交換・兼任(生駒里奈さんと松井玲奈さん)が行われたようなショッキングな人事や、他グループとの露骨な競争に見舞われず、グループ内でのびのびと自分たちのポジションを見つけることが可能だった。
3期生を取り巻く明るさは楽曲にも現れているようである。加入後初の3期生曲「三番目の風」はエネルギッシュなデジタルポップ、最新の25thシングル「しあわせの保護色」カップリングの「毎日がBrand new day」(Type-Cに収録)は60~70年代洋楽ポップスを彷彿とさせる。同時収録の2期生曲「アナスターシャ」が芯の強さ、4期生曲「I see...」がハッピーオーラをリスナーに感じさせるとしたら、「毎日がBrand new day」は今を楽しんでいる充実感を印象付けてくる。
先輩メンバーが多い中で加入したので、メンバー・ファンともに3期生の成長を見守るムードが醸成されていた。小柄な与田祐希さんは主に1期生からマスコットのように可愛がられ、鹿児島県出身で方言混じりで話す大園桃子さんも素朴さが愛されるポイントとなっている。
絆深まる1期生と3期生
2019年から20年にかけて、1期生と3期生が急接近し、関係が深まるようなシーンが増えていった。
2020年「映像研には手を出すな!」のドラマ版(MBS・TBS系、4〜5月)、映画版(9月公開予定)で主演を果たしたのが1期生の齋藤飛鳥さん・3期生の山下美月さんと梅澤美波さんの3人。齋藤さんと山下さんはこの共演を機に仲が深まり、テレビやネット動画の中で互いにイジり合ったりしている。
20年7月18日の生放送番組「音楽の日2020」(TBS系)では「ディズニーソングTOP10カバーリレー」として、出演者の中からディズニーソングを選抜メンバーで歌唱する企画があった。乃木坂46からは生田絵梨花さんが出演予定だったが、直前に体調不良で番組欠席となってしまう。この日、春にミュージカル「ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド 〜汚れなき瞳〜」で生田さんと共演していた三浦春馬さんの訃報が流れたことが影響したのではとファンから心配されていた。
生田さんに代わって出演したのが3期生の久保史緒里さんである。久保さんは城田優さんらとともに「アンダー・ザ・シー」「パート・オブ・ユア・ワールド」(「リトルマーメイド」劇中歌)を披露し、得意の歌唱力で生田さんの代役を無事務めあげた。生田さんを尊敬して「生田絵梨花さんの人生、生き方が好き。お忙しい中でも疲れを見せない姿がかっこいい」(テレビ東京系「乃木坂工事中」19年11月10日放送回)とまで語っていた久保さんの活躍はファンを大いに感動させただろう。
梅澤さんは加入前から握手会に参加するほど憧れていた白石麻衣さんへのアピールをよくしていたが、20年9月29日発売予定の自身初の写真集も製本前にいちはやく白石さんに見せたことなどを8月20日配信の写真集公式インスタライブで話していた。さらに白石さんや齋藤さんがインスタライブ配信を見ていることを視聴者から教えられると顔を赤らめる一幕も。
もともと久保さんや梅澤さんのように現役メンバーに憧れて加入したメンバーも少なくないので、自然にグループ愛も強くなる。先輩が築いた乃木坂のアイデンティティを着実に引き継いでいけそうで、ファンには安心できる世代交代が実現しそうである。
在籍期間長期化の「法則」?
ところで、3期生が4年間卒業者ゼロでいたこと自体もまた、乃木坂の盤石ぶりを証明していそうだ。グループの歴史が長くなるにつれて、在籍期間も長くなっていく「法則」が見出せるからだ。
1997年の結成から20年以上になるモーニング娘。を例にとると、OG合計30人(20年9月現在)の平均在籍期間は5年7か月だが、在籍5年未満のOG12人のうち、11人が2010年までに卒業している。逆に2010年以後、それまでいなかった10年以上在籍したOGメンバーが4人(高橋愛さん・新垣里沙さん・田中れいなさん・道重さゆみさん)現れている。
グループの活動が安定すれば長く活躍できるようになるという当然の理屈ではあるが、メンバーが変わらないことがファンに安心感を与え、固定層の獲得と新規ファンの定着につながる、というサイクルだ。
乃木坂でもメンバーの「5年在籍率」を計算すると、1期生が66.7%(36人中24人)、2期生が78.5%(14人中11人)と上昇傾向である(2期生は全員研究生からスタートしたがオーディション合格時から計算)。
結成以来乃木坂の看板メンバーは1期生に集中していたが、彼女たちからバトンを受け継いで歴史を作っていく役目も2~4期生は担っている。今後もエースの卒業が相次いでも、安定してグループを継承する土台は整っているだろう。
(J-CASTニュース編集部 大宮高史)