テレビでの、いじめ、決めつけ、ステレオタイプ、ジェンダー差別、ステマ、ファクトチェックされていない情報流布になるべく抵抗します――。ジャーナリスト、ラジオDJなどとして幅広く活動するモーリー・ロバートソンさんのそんなツイートが大きな話題となっている。
ロバートソンさんは2020年9月2日未明、「唐突ですが意見表明をします」と自身のTwitterで連続ツイート。「今後のテレビ出演ではいじめ、決めつけ、ステレオタイプ、ジェンダー差別、ステマ、ファクトチェックされていない情報流布になるべく抵抗することにしました」と投稿した。
コロナ禍とネット浸透で「テレビ業態が圧迫」と指摘
続いて、新型コロナウイルス拡大の影響で広告収益が減り、経営にも大きな影響が出ている民放各局が今後、制作費圧縮などが避けられない状況であると指摘。またネットの浸透によって、テレビそのものの業態が圧迫されている実情もあるとして、以下の8点の「トレンド」を感じていると列挙した。
・報道、バラエティーともに瞬発的なセンセーショナリズムを追う演出が以前より目立つようになった。
・生煮えの企画が多く、見切り発車の頻度が増えている。情報番組ではファクトチェックが入念になされない。
・番組のコーナーがステルス・マーケティングとして構成されている。出稿したと思われる企業の商品やサービスを出演者が礼賛する組み立てになっているが、往々にして出演者はこのことを事前に知らされていない。
・直接・間接の「いじめ」が盛り込まれる場面が増えた。例として「クイズに答えられなかったら罰ゲーム」「チームメートになじられる」「高学歴なのに低学歴のタレントでもわかる問題がとけなかった」などなどです。あるいは女性出演者の年齢をアイドル、新人アナと比較する形で「いじる」演出。出演者同士がある種の「視聴者サービス」でいじり合い、いじめ合う演出もあれば編集や進行で見ている人がその「いじり」や攻撃に参加できるようにうながすものなど、種々雑多です。昨今、こういった演出が過剰であったため犠牲者も出ています。
「若い女性を『昭和のオヤジ目線』でキャスティングする傾向」など問題視
・出演者をキャラ設定や肩書などではめ込む傾向。自分に限って言うと「東大とハーバードに同時合格」がテロップに流れる場合が多いです。40年前の快挙(確かに快挙ではあった)に驚く人がいることも否めませんし、それで出演できるのならまあいい、という按配なのですが、そこに押し込みすぎる。
・「日本をほめる外国人枠」のようなものの存在を以前から感じていましたが「日本をほめまくる日本人枠」も出現しているように感じます。
・出演者が安い「感動」に涙する場面がお約束で「もういいよ」と思うほど盛り込まれる。
・若い女性を「昭和のオヤジ目線」でキャスティングする傾向。これはもう定番ですが #MeToo 以後、本当に世間の価値観は変わってきています。テレビは追いつく必要がある。
その上で、かつてのバブル期のテレビ文化の中には「さまざまなオルタナティブ文化や主流から外れた価値観が生息できていました。ですが今は余裕がない。先も見通せない」「そのしわ寄せが『やっつけで乱暴な、ポルノ的演出』という形で現場に降りてきてしまっている。とにかくテレビの元気がない」などと、昨今のテレビ番組について批判を展開した。
「テレビが衰弱し続ける中で手っ取り早い『いけにえ』を見つけ出そうとする傾向には業界がコンプライアンスを働かせるべきです。加えて視聴者も出演者もいじめに加わってはなりません。こんなことを言わなくてはならない状況がそもそも異常です」
「『テレビは楽しければそれでいい』と言えたイノセントな時代は終わってしまいました」
ロバートソンさんのツイートに対しては、投稿から9時間後の2日11時時点で、約3万5000件リツイートされ、約12万4000件の「いいね」が付いている。また、コメントもロバートソンさんに共感するものが多く、
「私はいつも、テレビでのいじめ・いじりの類を見ると、やめてほしいと思っていました。出演者サイドでこのように発言していく人が増えていくことを切に願います」
「モーリーさんの姿勢でその問題提起を是非ともTVを見る層と共有して欲しいです」
などの意見が並んだ。
唐突ですが意見表明をします。今後のテレビ出演ではいじめ、決めつけ、ステレオタイプ、ジェンダー差別、ステマ、ファクトチェックされていない情報流布になるべく抵抗することにしました。生放送では勿論やりますが、収録ではカットされてもやります。以下、長く深くなりますが私の考えを解説します。
— モーリー・ロバートソン (@gjmorley) September 1, 2020