「自分たちで総裁・総理を選んでいる実感」、再び
広島県東部に住む会社役員の男性(60)は数年前、自民党員だった友人から入党を誘われた。日経平均株価が1万円以下に低迷し、為替も1ドル80円台と超円高となった民主党政権時代、金融資産が4割ほど目減りし、2012年末の安倍政権誕生後の「アベノミクス」で取り戻した。「恩返ししてもいいかな」と考え、入党に応じたという。
それまでは「ノンポリ」で政治に興味はなかったが、今は地元選出の自民党衆院議員の後援会にも入り、集会への出席や選挙時の動員の手伝いも行う。
かつて広島県東部では、地元選出の亀井静香・元衆院議員が自民党の有力者だった頃、公共事業などで経済が潤っていたという。が、亀井氏が2005年の「郵政選挙」の時に自民党離党を余儀なくされて以降は、地元経済は低迷の一途だと感じる。男性も今回の総裁選での党員投票を求めている。
「前回(2018年の)自民党総裁選で投票し、自分たちで総裁・総理を選んでいるという実感が得られ、党員になった甲斐があったと感じました。今も毎年党費を払い、地元での党の政治活動も担っているので、党員投票は実施していただきたいです」
投票できるなら、地元・広島県が地盤の岸田文雄・政調会長が候補だが、外相・防衛相として存在感を示しつつある河野氏にも、「いずれ国のトップをやらせてみたい気がします」という。
総裁選をめぐっては、小泉進次郎・環境相が党員投票の実施を求めた上で、「次の総裁を選ぶチャンスが、本来なら党員の皆さんにあるはずなのに、それが仮に行使できない形で行われるなら、ますます党員の中の分断が進みます」などと述べている。また若手議員有志も、党員投票の実施を求める署名活動を行っている。