ボクシングの世界戦で王者が体重を超過する失態を犯した。
WBC世界スーパーミドル級タイトル戦が2020年8月15日(日本時間16日)に米コネティカット州で行われ、デビッド・ベナビデス(米国)がロアメール・アングロ(コロンビア)を10回TKOで下した。ベナビデスは前日計量でリミットを約1.3キロオーバーし、再計量に臨むことなく王座をはく奪された。
体重超過は国内でも問題視
本来ならば王者ベナビデスの防衛戦として行われるはずだった一戦は、前日の段階で王座が空位となったため挑戦者アングロが勝利した時のみ王座が移動するというイレギュラーなものとなった。試合は正規リミットを1キロ以上もオーバーしたベナビデスが序盤からアングロを圧倒。10回TKOでデビューから23連勝(20KO)としたが、なんとも後味の悪い結末だった。
ボクシング界では世界的に体重超過が深刻な問題となっている。世界最高峰の舞台であるはずの世界戦ですらたびたび体重を超過する選手がみられる。海外ではノンタイトル戦での体重超過は後を絶たず、日本国内でも体重超過は問題視されている。減量が仕事のひとつであるボクサーがなぜリミットを守ることができないのか。選手の考えが甘いと言ってしまえばそれまでだが、ボクシングの持つ興行的な側面がひとつの要因となっているだろう。
プロの世界において一方の選手が体重を超過してもカードそのものが無くなるケースは稀である。世界戦ならばなおさらだ。世界戦のケースでいえば、王者が体重を超過すれば王座をはく奪、挑戦者が超過した場合は挑戦資格を失う。前述のように変則的なタイトルマッチになる場合もあれば、ノンタイトル戦に変更されることもある。これに加えてファイトマネーの減額、統括団体がペナルティーを与えるケースもある。