連日の高値更新 エアコン大手・富士通ゼネラルに、投資家の注目集まる理由は?

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   エアコン大手、富士通ゼネラルの株価が、立て続けに上場来高値を更新する好調を見せた。新型コロナウイルス禍のなか、巣ごもり需要をとらえて業績が好調なことを投資家が好感し、買いの勢いが衰えない。

   コロナ後も世界的に成長が続くとの期待もあるようだ。

  • エアコンメーカーに市場の関心が(イメージ)
    エアコンメーカーに市場の関心が(イメージ)
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売上高の9割近くが「エアコン」

   名前が示す通り、富士通ゼネラルは富士通傘下のエアコンメーカー。もともと関東圏でモーターなどを生産する電子部品メーカーで創業は1936年。1984年に富士通と資本・業務提携し、現在も発行済み株式の44.08%を富士通が持つ(富士通からみると持分法適用関連会社)。

   早くから地域的に偏ることなく海外展開を進めており、2020年3月期の海外売上高比率は66%に及ぶ。そのほとんどが「ノクリア」などのブランドのエアコンだ。会社全体の売上高の9割近くがエアコンで、まさに「一本足打法」と言えよう。

   関西のダイキン工業も(こちらは独立系)似たようなエアコン一本足のライバルだが、富士通ゼネラルの売上高はその10分の1程度と差は開いている。

   富士通ゼネラルはコロナ禍の比較的早い段階で、マイナスの影響よりプラスの影響が大きいのではないかと期待されていた。6月4日付でSMBC日興証券は投資判断を3段階で真ん中の「2」から最上位の「1」に格上げし、目標株価も1800円から2500円に引き上げた。

   リポートいわく、「コロナの影響からのいち早い脱却も視野に」、「生産への影響で最悪シナリオを免れ、原価低減で2021年3月期に増益も視野も入ってきた」と指摘した。この時点で富士通ゼネラルは2021年3月期連結決算の業績予想を「未定」としており、初めて予想を発表したのは6月24日。それは確かに増収増益だった。売上高は前期比1.1%増の2650億円、営業利益は7.1%増の160億円、純利益は90.8%増の110億円を見込んだ。

生活必需品なので「コロナ」相対的に影響低く

   ただ、期待はされるものの、好調な業績予想の発表後も2017年1月につけた上場来高値(2720円)を突き抜けるまでには至らずにいた(ダイキンは7月9日に上場来高値を更新しており、「地力の差」を言う向きもあった)。明らかに風向きが変わったのは7月21日に2020年4~6月期連結決算と2020年4~9月期業績予想の上方修正を発表してからだ。

   4~6月期の売上高は前年同期比6.9%減の580億円、営業利益は55.3%増の39億円、純利益は75.6%増の34億円。主力のエアコンでみると売上高は海外向けが13.7%減の347億円だったが、国内は1.0%増の183億円と健闘した。国内では「10万円給付金」の恩恵で6月の販売が好調だったことを反映した。海外は売り上げが減ったとはいえ、経済活動がストップする地域が多いなかで予想外の好決算。このため「需要の立ち上がりが早い」として上半期の業績予想を上方修正し、純利益は従来予想から15億円増の35億円とした。

   2021年3月期通期の業績予想は6月24日公表の数値を据え置いたものの、上期上方修正発表翌日の7月22日、株価は上場来高値まであと4円に迫る2716円まで上昇した。その後は一進一退しながらも梅雨明け後の猛暑の後押しもあって崩れず、8月17日についに上場来高値を更新して2736円をつけ、以降も連日高値を更新した。8月25日の取引時間中には日本電機工業会が、「7月の国内の白物家電出荷額が前年同月比12.5%増の2713億円だった」と発表。このうちルームエアコンは18.7%増の1143億円で2カ月連続で増加しており、こうした数値も株価上昇を後押ししたようだ。28日には少し落としたものの、それでも2800円台をキープしている。

   当面、世界的に「空調機は生活必需品であるためコロナの影響は相対的に小さい」(野村証券)とみられている。原材料の銅価格が上昇基調にあることなど気がかりな点はあるが、しばらくは高値を追う可能性がある。

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