外岡秀俊の「コロナ 21世紀の問い」(19)アベノミクスの今と、資本主義の行方

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メガロポリスの脆弱性

   今回のコロナ禍で水野さんが注目するのは、「メガロポリス」の脆弱性だ。

   「資本は文明の別名にすぎない」。水野さんは、マルクスが『経済学批判要綱(草案)』で紹介した英国のジョン・ウェードの言葉を引いて次のように話す。

   資本がつくった都市文明の頂点に君臨するのがメガロポリスだ。「メガロポリス」は、かつての大都市や首都といった「メトロポリス」を超えて、大都市が帯状に連なる巨大な居住圏、行動圏だ。ふつうの、「メトロポリス」なら半径50キロ圏内だが、それをさらに超えて広がる大都市連鎖空間ということになる。

   たとえば日本では、新幹線を通して結びつく首都圏、中京圏、関西圏。コロナ禍はこの1都2府5県で感染者が6割台になり、今は7割を超えている。東京都だけを「Go Toキャンペーン」から外せば、感染が抑えられる、という話ではない。

   日本だけを見ると、「単に人口が集中しているから」と言えないこともないが、世界を見渡せば、それが偶然ではないことがわかる。

「ニューヨーク、ボストン、ワシントンのメガロポリスを見ると、第1波のピーク時で感染者は全米の3割、死者は5割。コロナ禍がメガロポリスに集中していることがわかります」

   そもそも、都市と資本には、切っても切れない縁がある。そう水野さんはいう。都市の形成は11~13世紀ごろで、初期の資本の概念が生まれたのも13世紀ごろだ。

「都市は人口を集積し、資本を集中し、上へ上へと伸び、横にも結び付いて巨大なメガロポリスを形成した。その意味で、13世紀以来の都市集中の累積結果が、今回のコロナ禍で直撃を受けたのだと思う」

   今後、コロナ禍のような感染症を防ぐには、再び都市のサイズを50キロ圏内に戻して分散し、「地方分権」に向かうしかないだろう、と水野さんはいう。

   都市に限らず、今回のコロナ禍は、これまで膨張を続けてきたグローバル資本主義に限界を突きつけ、変容を迫っている、と水野さんはいう。

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