外岡秀俊の「コロナ 21世紀の問い」(19)アベノミクスの今と、資本主義の行方

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   安倍晋三首相は2020年8月28日、辞意を表明した。この24日で連続在職日数が2799日になり、大叔父の佐藤栄作氏の記録を更新して憲政史上最長を記録したばかりだった。7年余りに及ぶ看板の「アベノミクス」とは何であったのか。コロナ禍は今後、資本主義にどのような変容を迫るのか。二人の経済学者に「アベノミクス」を総括していただき、今後の経済の展望について話をうかがった。

  •                          (マンガ:山井教雄)
                             (マンガ:山井教雄)
  •                          (マンガ:山井教雄)

記憶塗り替える打撃

   内閣府が8月17日に公表した今年4~6月期のGDPの1次速報は、物価変動の影響を除いた実質で前期比7・8%減、年率換算では27・8%減の落ち込みになった。

   マイナス成長は3四半期連続だったが、コロナ禍が本格化した4~6月期の打撃は特に深刻だった。石油危機後の1974年1~3月期の年率換算13・1%減はもちろん、「100年に1度の危機」といわれたリーマンショックの後の09年1~3月期の年率換算17・8%減を上回る下落幅だ。

   下落の一番の要因は、全体の半分以上を占める個人消費の前期比減少率が、過去最大の8・2%になったことだ。これは消費増税のあった14年4~6月期の4・8%を上回る落ち幅だ。

   もう一つの理由が前期比で18・5%減になった輸出の落ち込みだ。自動車をはじめ、海外での商品の売れ行きが不振になり、GDPを押し下げた。統計では「輸出」に分類されるインバウンド消費も、3月から5か月連続で訪日観光客数の9割減が続き、ほとんどが消えた。

   日本よりも感染が深刻な米国では、同じ四半期に年率換算で約33%減、ユーロ圏も約40%の減を記録しており、打撃は世界規模に広がっている。

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