「指をくわえて見ているしか...」Go Toの恩恵「大手」ばかりに? 中小旅行会社の苦境続く

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巨額予算の配分、中小旅行会社は限定的 「売り上げ回復にほど遠い」

   団体旅行は、旅行先でのホテルや旅館のみならず、行き帰りの貸し切りバス、昼食会場に利用する飲食店、途中で立ち寄る土産物店など、関係する業界が多岐に渡る。

   村山さんら全国旅行業協会東京都支部の幹部らは8月5日、東京都の小池百合子都知事に面会し、中小旅行業者の窮状に対する支援を訴えるとともに、貸し切りバス、貸し切りタクシー、ドライブイン、団体食事施設、飲食・土産販売などを含めた総合的な支援策の実施を要請した。小池知事は「ご要望はしっかり受け止める」と話し、要望書を受け取った。

東京都の小池百合子都知事に要望書を手渡す全国旅行業協会東京都支部の幹部ら(2020年8月5日、提供)
東京都の小池百合子都知事に要望書を手渡す全国旅行業協会東京都支部の幹部ら(2020年8月5日、提供)

   そもそも、「Go Toトラベル」の割引代金に充てる約1.3兆円の予算は、大手の旅行会社に重点的に配分される仕組みだ。キャンペーンに参加する場合、各旅行会社はJTBなど大手が構成員の「Go Toトラベル」事務局に登録申請するが、事務局が提示する配分枠は各旅行会社の2019年度の旅行取扱額に基づいて計算するためだ。

   国内旅行の市場は、最大手のJTBが総旅行取扱額の2割前後を占め、これに近畿ツーリストや日本旅行など取扱額上位の10社が5割以上を占めるとされる。残りを約1万の旅行会社で分け合う構図だ。

   19年の取扱高が1億円未満という横浜市内の旅行会社の社長(40代)は明かす。

「私どもの会社に『Go To』で配分される予算枠から計算すると、50組も利用していただけるかどうかです。それでも手数料収入としては60万円くらいにしかなりません。売り上げ回復にはほど遠いです。私どものような小さな会社より先に、大手さんが予算枠を使い果たしてしまうのではないですか」

   「Go Toトラベルの恩恵が、旅行会社の大半を占める中小規模の会社に回っていないのでは――。疑問を観光庁にぶつけると、次のような返答だった。

「もちろん大手の事業者の方がニーズも組織も大きいので、どうしても取扱額が大きくなってしまいます。ただ、事業者の規模にかかわらず門戸は開かれていますし、中小の事業者にもこの機会を活用していただけるよう、我々としてはサポートして参りたい。配分はあくまで『仮』のもので、足りなくなれば追加申請していただければと思います」(観光庁観光産業課の担当者)
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