合法な店がつぶれてしまえば...
実際、性風俗産業やその従事者へ向けられる世間の目は厳しい。FU-KENさんは、自ら進んでキャストとして風俗業界に入った。仕事にやりがいを見出したため、現在は独立して店を経営している。しかしキャストとして働いているときには、客から「こんな仕事してちゃだめだよ」と説教を受けることもあったという。経営者となってからは、従業員の教育のために電話応対セミナーの申し込みをしたところ、「性風俗業は参加できない」と断られてしまうなど、世間の理解を得られないと感じることが多々あるという。
また、性風俗産業が抱える課題についてSNS上で発信を行う中、「脱税をしているのではないか」といった声が多数寄せられるという。
「反社との繋がりや脱税について、もしかすると業界には実際にそういう部分はあるのかもしれません。しかし私の店はそういったことと関りはありません。健全に経営をしている事業者は存在します」
FU-KENさんは、世間からの性風俗産業に関しての理解を深めてもらう必要があると感じている。そして、国が性風俗業は助けないと一律に除外してしまえば、合法な運営を行っている店がつぶれ、業界の一部が反社会的勢力とのつながりを強めてしまう可能性があると危惧している。
「私は、働く人が安全に働けるように、国はこれまでのあいまいな扱いをあらためて、きちんと性風俗業と向き合ってほしいと願っています」
FU-KENさんは今後、2020年8月27日から、訴訟に向けたクラウドファンディングを実施し、9月上旬に訴訟を起こす予定だ。クラウドファンディングは、「社会課題の解決を目指す訴訟(公共訴訟)の支援を行う」という「Call4」で実施する。
「職業によって差別されない世界を目指すことは、性風俗業だけでなく、誰しもに関わることではないかと思います。今回は性風俗業の問題ですが、今後、同じようにあいまいな理由によって、別の職業の方や業種の事業者が差別されることになるかもしれません。その意味で、この訴訟は、この国で生活する人ひとり一人の問題とつながっています。この訴訟を多くのかたに知っていただき、職業差別について考えていただくきっかけになればと願っています。ご支援のほどよろしくお願いいたします」