新型コロナウイルス感染症拡大に伴う国からの給付である「持続化給付金」および「家賃支援給付金」について、性風俗店を始めとする「性風俗関連特殊営業」の届け出をしている事業者は、給付の対象外となっている。
これに対してある風俗店が、国に対して風俗産業への「持続化給付金」と「家賃支援給付金」を求め、東京地方裁判所に提訴する準備を進めている。2020年8月27日からは、この訴訟のためのクラウドファンディングを開始した。J-CASTニュースは、この風俗店の経営者FU-KENさん(匿名)に取材を行った。
正しく納税し、反社との関係もないのに...
持続化給付金は、新型コロナウイルス感染症拡大によって、営業自粛などの影響を受けた事業者に対して給付されるもので、事業全般に広く使える。家賃支援給付金については、5月の緊急事態宣言の延長などにより、売上の減少に直面する人々の事業の継続をささえるため、地代・家賃(賃料など)の負担を軽減する給付金を給付するものとされる。しかし、性風俗事業者は給付対象になっていない。性風俗事業者以外で除外されているのは政治団体・宗教団体のみだ。
性風俗産業が給付金交付の対象外となっている件について、J-CASTニュースが中小企業庁に理由を取材すると、中小企業庁はメールでこう回答した。
「御指摘の事業者については、過去の公的金融機関や国の補助制度での対応を踏まえ、持続化給付金の給付対象から除外させていただいております」
大阪で無店舗型性風俗店を経営するFU-KENさんは、このことに異議を唱える。
「正しく納税し、反社会的勢力との繋がりも無く、みんなと同じように新型コロナウイルスの影響を受けている。それなのに、他の業種と同様に国が扱わないことは、職業差別だと感じました」
FU-KENさんの店は緊急事態宣言下の休業要請などに従っており、経営的に厳しい状況に追い込まれているという。そこで2020年6月15日、「ナイト産業を守ろうの会」という支援団体を通して、性風俗関連産業も「持続化給付金」の支給対象とするよう求める署名と陳情書を中小企業庁の担当者に手渡した。署名は、書面で416人、署名サイト「change.org」では533人分のものを集めた。しかしその際も、「過去の政策との整合性から総合的に判断して決めた」との説明がなされるのみで、決定にいたる経緯や具体的な理由を知ることができなかった。そして結局、支給対象が変更されることはなく、今に至る。