安倍晋三首相が2020年8月28日に記者会見し、自らの健康問題についても説明すると報じられている。
それを前に、「ポスト安倍」候補のメディア露出が相次いでいる。この動きをどう見るのか、政治評論家の有馬晴海さんに話を聞いた。
岸田氏vs石破氏が「軸」? 菅氏や河野氏もインタビュー応じる
早くから、自民党内でポスト安倍と目されていたのが、岸田文雄政調会長と石破茂元幹事長だ。
岸田氏は8月25日、東京都内で講演を行い、そのことについての質問も受けた。コロナ禍の中で次期首相を目指すことについて、貧乏くじを引くことにならないか聞かれると、「そんなことで怯んでいるようでは、大きな目標に向けてはとてもたどり着けない」と覚悟を示した。24日には、日本テレビの取材にプライベートを初公開し、息子たちのパパとして皿洗いをする家庭的な顔も披露した。
一方、石破氏は23日、BS朝日の番組に出演し、党総裁選が行われるときには、党員にも開かれた透明性のあるものにすべきだと訴えた。「かんかんがくがくの議論を党員や国会議員の前で戦わせる、そういう自民党であってほしい」とし、次期首相を目指す心構えとして、「国民に正面から向き合うことではないか」と述べた。
ポスト安倍を巡っては、菅義偉官房長官がこのところ、にわかに脚光を浴びるようになっている。菅氏は、会見で記者に聞かれ、次期首相については「まったく考えていない」と明確に否定したが、8月22日には、文藝春秋のウェブサイトでインタビュー記事も載るなどしている。
さらに、かねてから意欲を見せている河野太郎防衛相もメディアの脚光を集めるようになり、21日には、文藝春秋サイトのインタビュー記事でも決意を示した。
「辞める可能性もあるとみて、各メディアがインタビューに走る」
こうしたポスト安倍候補の動きは、安倍首相の会見内容を事前に察知したものなのだろうか。
政治評論家の有馬晴海さんは8月26日、J-CASTニュースの取材に次のような見方を示した。
「28日の会見は、コロナ対策の説明が中心になるようですが、そこで自らの健康についても言わないわけにはいかないでしょう。安倍さんから、何らかのメッセージはあると思います。体力が続かずに首相を辞めるか、健康が回復しているので万全な体制で続けたいと述べるか、どちらかになる可能性があります」
「当初うわさされたような副総理の麻生太郎さんを臨時代理にするといった中途半端なことはないのでは。メディア露出が増えているのは、安倍さんの体調によっては辞めることもあるとみて、各メディアがインタビューなどに走っているのだと思います」
安倍首相が辞めるようなことがあった場合、今のところ、岸田氏か石破氏か、の大きな流れは変わらないという。
「岸田さんについては、発信力が弱いので総理として持つのか、石破さんについても、安倍さんに嫌われて20人ほどの派閥とともに党内で孤立している、といった弱みがあります」
「安倍さんが辞めた場合、任期途中の臨時総裁選になりますので、基本は国会議員の投票だけになります。加わるとしても、地方議員でしょう。そうなれば、岸田さんが有利になる可能性がありますが、石破さんの支持者が多い党員にも投票させるよう要求が強まるかもしれません。選挙の顔を考えれば石破さんですので、その可能性も出てきたと思います」
菅氏については、関係の深い二階俊博幹事長ら何人かがくどいているといい、菅氏が受諾すれば可能性はあるとした。
「菅さんは、安倍政権を支えてきましたので、安倍さんに忖度している大多数の議員は、菅さんなら安心できると思っているでしょう。石破さんなら、干される恐れもあると考えていますから、やらないと言っている菅さんがやるとなったら、担ぐ流れが出てくるかもしれませんね」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)