「止めたのだから『ナイスキーパー!』で良いんじゃないか」 日本がGKを育てるために、何が必要なのだろう

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「『止める』という本質を見失うことがあってはいけない」

   では、日本人の若手GKが欧州5大リーグなど、世界の舞台へ飛び出していくには何が必要なのか。山野氏はまず「JFA(日本サッカー協会)公認GKコーチライセンスが創設されました。これは素晴らしい制度で、指導者のレベルは上がっています。ただ、杓子定規に解釈しすぎたような指導方法も、まだ現場では見られます」と話す。

「基本の『型』は非常に重要です。ただ、型に縛られすぎて小さくまとまってしまうと、実戦で先ほどの話のようなダイナミックな動きはできなくなるでしょう。『止める』という本質を見失うことがあってはいけないし、型から多少外れた動きであっても純粋に『止めた』ことをもっと評価していいと思います。

指導の現場にいて、日本は細かいミスも指摘される傾向があると感じます。以前こんなGK指導を見ました。選手が至近距離の速いシュートを横っ飛びで何本も止めていたのですが、そのコーチは『ダイビング(横っ飛び)は前に飛ぶばないとダメだ』と、褒めるのではなく怒っていたのです。確かにダイビングはボールに最短距離で届くよう、シュートコースに対して斜め前に向かって飛ぶ、という原則はあります。

でも、その原則どおりのプレーができる状況だったのか。有効な状況だったのか。状況によっては前に飛べないこともあるし、後ろに飛んだほうが有効なこともあります。今言ったシーンでは至近距離から速いシュートを打たれており、GKが飛ぶ方向をコントロールできる状況ではありませんでした。私は、そんな状況で立派に止めたのだから『ナイスキーパー!』で良いんじゃないかと思いました。

たとえ『型』通りではなくても、試合で止められたのは練習の賜物であり、試合の状況に応じたプレーだったはずです。状況や有効性を考慮せず、ただ原則に反しているからダメだと指導したら揚げ足取りになってしまいます。ミクロにとらわれすぎて、マクロをおろそかにしてしまうような指導。こうした指導が果たして選手のためになっているのかどうか」(山野氏)
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