安倍晋三首相の連続在職日数が2020年8月24日で12年12月の政権復帰から2799日となり、大叔父の佐藤栄作元首相が持っていた歴代最長記録を塗り替えた。健康不安が指摘される中での記録更新だ。
安倍氏はこの日、8月17日に続いて東京・信濃町の慶応大病院で検査を受け、記者団に対して「体調管理に万全を期して、これからまた仕事に頑張りたいと思いと思う」と説明した。ただ、今後の政権運営への意気込みや、具体的な政策課題への言及はなく、口にしたのは国民などへの「感謝」だった。19年11月に「通算在職日数」が単独で歴代最長になった際に「私の自民党総裁としての任期は2年近く残っている」として「全身全霊をもって政策課題に取り組んでいきたい」と話していたのとは対照的だ。
「体調管理に万全を期して、これからまた仕事に頑張りたい」
安倍氏は4時間ほどの慶応病院滞在を終えて首相官邸に移動し、2分弱にわたって報道陣の取材に応じた。検査については
「今日は先週の検査の結果を詳しくお伺いし、そしてまた、追加的な検査を行った。体調管理に万全を期して、これからまた仕事に頑張りたいと思う」
と説明した。記者の「検査結果をうかがうことはできるのか」という質問については
「今日は、検査、再検査を行ったところだ。またそうしたことについてはお話をさせていただきたい」
と応じ、何らかの形で説明する考えだ。
連続在職日数の記録更新については、
「結果を出すために、1日1日、日々、全身全霊を傾けてきた。その積み重ねの上に、今日の日を迎えることができたのだろうと考えている」
と述べた上で、国民への「心からの御礼」「感謝」を口にした。
「すべては、これまでの国政選挙において、力強い支持をいただいた国民の皆様のおかげだ。心から御礼申し上げたいと思う。また、大変厳しいときにあっても、至らない私を支えていただいた、全ての皆様に感謝申し上げたいと思う」
「全身全霊」「チャレンジャーの気持ち」「挑戦」
今回の記録更新は第2次内閣としての「連続在職日数」。第1次内閣を合わせた「通算在職日数」が2887日となり、戦前の桂太郎元首相が持っていた歴代最長記録を抜いたのは19年11月20日のことだ。当時安倍氏が口にした「受け止め」の内容は、今回とは大きな差がある。
まず、今回は安倍氏が取材に対応したのは2分弱だったのに対して、19年11月は3分強。さらに、国政選挙に連勝したことについては「感謝」「御礼」といった言葉を使わずに
「国民の皆さまから強く背中を押していただき、1日1日、お約束した政策を実現するために努力を重ねてきた。その1日1日の積み重ねによって今日という日を迎えることができたと思っている」
と言及した。その上で、「私の自民党総裁としての任期は2年近く残っている」として、今後の政権運営への意欲を示した。
「その責任の重さをかみしめながら、薄氷を踏む思いで、その緊張感を持って歩みを始めた初心を忘れずに、全身全霊をもって政策課題に取り組んでいきたい」
さらに、デフレ脱却、少子高齢化問題、戦後日本外交の総決算、憲法改正という4つの政策課題に言及した上で、
「これからも、チャレンジャーの気持ちで令和の時代、新しい時代を作っていく、そのための挑戦を続けていきたいと思う」
と話していた。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)