新型コロナウイルスの影響により、昨年まで当たり前だったことが当たり前ではなくなっている。
そのような変化を最もリアルに体験できるのは国際空港のターミナルではないかと考えた。今回は関西の玄関口にあたる関西空港の第1ターミナル訪問記をレポートする。
異様な光景に思わず息を飲む
2020年8月第一日曜日、午後に国際線が乗り入れる関西空港第1ターミナルを訪れた。普段はJR西宮駅前から空港バスに乗車するが、現在はJR西宮発9時57分の次は19時27分までない。仕方がないので、JR三ノ宮駅前にあるバス停から乗る。こちらも日中の運転間隔は20分間隔から40分間隔に減便されており、係員に聞くと「深夜便がある時間帯はスーツケースをもった乗客は見かけるが後はガラガラ」とのこと。車内は5人程度で昨年とは大違いだ。
筆者はバスを降り、国際線チェックインカウンターがある第1ターミナル4階に入った。検温を済ませ目に飛び込んできたのは照明が落とされた無人のカウンター。あまりに異様な光景に思わず息を飲んだ。
モニターを見ると、ほとんどの便が「欠航」となっている。唯一、エールフランス(KLMオランダ航空のコードシェア便)23時40分発パリ行きのみ「搭乗手続開始20:40」という文字が灯っていた。
歩き回っても、ほとんどの店舗やカウンターがシャッターを降ろしている。その中でも外貨両替コーナーもシャッターを降ろしていることには驚いた。ちなみに国際線出国エリアと1階に営業中の外貨両替コーナーと外貨自動両替機があるので、関西空港から海外へ行かれる方はご安心を。
一方、新しい設備も見かけた。それが7月に保安検査場前にある国際線出発口で運用を開始した自動化ゲートである。従来は搭乗券を検査員に渡す手間があったが、導入された自動化ゲートでは出発客自らが搭乗券をスキャンしてゲートを通過する。残念ながら私が訪れたときは自動化ゲートを通る出発客はいなかった。
3階のレストラン・ショップフロアにも降りてみた。多くの店舗が臨時休業に入り、人の気配を感じられない通路も。まるでSF映画のセットに使えそうな雰囲気だった。
南海、JRも減便
航空需要が大きく落ち込む中、当然のことながら関西空港に乗り入れる南海・JRの特急も減便が続いている。南海の空港特急「ラピート」では平日は主に日中時間帯、土休日は10時台~11時台以降の列車はすべて運休となっている。
一方、JR西日本の空港特急「はるか」は一日あたり計60本で運行していたところを計32本にし、9月1日からは計18便に減便される予定だ。今年3月にデビューした増結用271系は未だ運用には復帰していない模様だ。
今まで自粛期間もあったことから新型コロナウイルスによる経済面での影響をダイナミックに肌で感じる機会はなかった。関西空港の惨状を見ることで、経済と感染対策の両立の重要性を思い知らされた。
(フリーライター 新田浩之)