主力事業の「赤字」をどう見るか
ただ、液晶パネルなど主力の「8Kエコシステム」が49億円の営業赤字(前年同期は65億円の黒字)に陥ったことは不安材料だ。何と言ってもスマホ用パネルは今後、有機ELに切り替わっていく見込み。シャープは業績予想発表と同時に液晶パネルなど「ディスプレイデバイス」を10月に分社化すると発表した。「他社からの出資による外部資金獲得も視野に入れる」としており、もはや「液晶のシャープ」ではなくなりつつあることをも示している。
一方、好調な家電にしても、給付金特需が支えているならば、それはまさに一過性の出来事であって、早ければ2021年3月期中にその効果ははげ落ちる。SMBC日興証券は2021年3月期連結決算の業績予想について「過去のトラックレコードを踏まえても達成のハードルは高い」と指摘した。常に堅めの予想を出すトヨタ自動車とは対照的な会社だということを意味しているのだろう。株価が上昇基調を続けるか、否かのハードルも高い可能性がありそうだ。