首位を快走している巨人だが、沢村拓一は3軍降格を報じられて大きな反響を呼んでいる。
巨人の番記者は「本人も悩んでいると思います。ぶっきらぼうで豪快に見えますが、結構繊細な性格です。今年は1軍にいる時からマウンドで神経質になっている感じがしました。制球は元々あまり良いタイプではない。かといって制球を気にせず、ただ速い球を投げることを追い求めているかと言われればそれは違います。自分の投球スタイルを模索しているうちに深いトンネルに入ってしまったような感じがします」。
「トレードで環境を変えればまだまだ十分にやれると思います」
今季は13試合登板で1勝1敗1ホールド。防御率6.08。制球が定まらず四球を出して、痛打を浴びる悪循環で改善の兆しが見えず、7月26日に1軍登録抹消された。中央大の先輩・阿部慎之助2軍監督の下で再起が期待されたが、2軍戦でも本来の姿を取り戻せない。今月7日のDeNA戦(横須賀)で同点の8回に登板したが、3四球で4失点の乱調。3軍降格が決まった。
沢村は巨人に対して思い入れの強い投手だ。10年のドラフトで入団を熱望し、単独1位指名を受けた際、記者会見で感極まって涙を流した。入団1年目に200イニングを投げて11勝をマークし、2年目も2ケタ勝利を挙げた。15年に守護神に抜擢され、16年に37セーブで最多セーブ賞を獲得。抑えに対してこだわりがあるのだろう。18年オフに原監督が先発再転向を打診したところ、沢村本人はリリーフを志願したことがスポーツ紙で報じられたこともあった。
他球団の関係者は「球団間のやり取りなので、沢村だけでの問題ではない」と前置きした上で、
「トレードで環境を変えればまだまだ十分にやれると思います。昔の沢村は『打てるものなら打ってみろ』と腕を振ってきましたが、今の沢村は四球を出すと落ち着かなくなり、力強さを失っているように見えます。四球を出しても点を取られなければいいぐらいの気楽な気持ちで、長いイニングを投げる先発の方が良いと思います。阪神の藤浪にも共通するけど沢村も持っている球は凄い。他球団はどこも欲しいと思いますよ」
と評価する。
現在の巨人で信頼を失った沢村のポジションはない。ただ、入団時から輝いていた姿を見てきた原監督や首脳陣は復調を心待ちにしている。どん底からはい上がれるか。