災害時の「不適切」広告に懸念も
気象庁のサイトにはどんな人が訪問するのか。気象庁広報室の担当者によると、サイトへの訪問者は災害の発生や季節によって上下があるが、幅広い人が訪れるという。
「天気予報を見たり、地震が起きた時に震度を確認したりと、若い人からお年をめした人まで、実にさまざまな方に見てもらっています。特に雨が降った時は、『アメダス』(地域気象観測システム)で雨雲の動きなどが見られるので、アクセスが増えます」(広報室の担当者)
天気予報を配信するインターネットサービスは他にもあるが、やはり気象衛星や全国各地に観測所を抱える気象庁の信頼性もあって、正確な情報を求める訪問者が多いようだ。広告主側から見たその魅力について、自治体の財源確保などの支援を手がけ、自治体のウェブサイトへの広告掲載にも関わるIT企業「ホープ」(福岡市)の広報担当者はこう話す。
「気象庁が持つサイトへの信頼性は、広告主にとっても非常に魅力的です。また訪問数の大きさも圧倒的ですから、広告媒体としては非常に大きな価値があると思います」
気になるのは、地震や大雨など公益性が高いサイトにも関わらず、不適切な広告を訪問者に見せてしまわないかという点だ。気象庁が運用するのは、「運用型広告」と呼ばれる、サイト訪問者によって異なる広告が出る仕組みだ。性的な内容を含むものや政治広告などは当然NGとして、災害時だと『不謹慎』とされる基準も高くなる。
「私たちもそれを一番懸念しています。あらかじめ不適切なものが掲載されないよう、フィルタリング(機械的に特定のジャンルの広告を除去する仕組み)する予定です。9月の掲載開始に向けて今、慎重に準備を進めていますし、細心の注意を払うつもりです」