「口座維持手数料」導入の動きは... みずほ銀行「紙の通帳有料化」、他行もコスト削減検討

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   みずほ銀行は、新しく開く口座の通帳を発行する際に1冊1100円の手数料を課すことを決めた。ライバルの三菱UFJ銀行も、長期間取引のない口座から年1200円の手数料を課すことを検討しているとされる。低金利政策で銀行が利益を出しにくい状況の中、これまで通帳を何度繰り越しても残高ゼロで放置していても「タダ」が当然だった銀行口座は、徐々に「有料化」に向かうのか。

   みずほ銀行が2020年8月21日朝にプレスリリースを公表した。税込み1100円の手数料を取るのは、21年1月から新たに口座を開設する場合で、70歳未満の個人と企業・団体が対象。その後に通帳を繰り越して追加発行を受ける場合も1100円の手数料がかかる。大手行で通帳発行を有料化するのは初めて。ただし、すでに口座を持っている人は有料化の対象外で、繰り越し時も含めて無料で通帳を受け取れる。

  • みずほ銀行の紙の通帳「有料化」は、銀行悲願の「口座維持手数料」導入につながるか
    みずほ銀行の紙の通帳「有料化」は、銀行悲願の「口座維持手数料」導入につながるか
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Twitterでは「手数料1100円」がトレンドワードに

   代わりに、スマートフォンなどオンラインで使える「デジタル通帳」を導入する。こちらは無料で、紙の通帳かデジタルかの選択制となる。しかもデジタル通帳だと、これまで過去3カ月分しか遡れなかった入出金や振り込みの履歴について、最大10年分確認できるようになる。紙からデジタルへの移行を促すことで、紙の通帳発行に伴う印刷費などの経費削減につなげる狙いだ。

   みずほ銀行の発表前に、読売新聞や日本経済新聞が21日付朝刊で先行して報じていた。ツイッターでは21日朝の「トレンドワード」になり、朝早くからこれらの記事を引用する形で、残念がる投稿や理解を示す声が相次いだ。

「通帳発行手数料1100円は草 さすがにそれはどうなん」
「通帳有料化が嫌なら来年1月17日までに口座作っておけ」
「発行の手間、通帳の購入費用、記帳できる機械の配置、管理。今までは儲かってたから無料だっただけなんだよ」
「通帳のペーパーレス化はいいことだと思います。ただ、新規発行のみなのはどうなんでしょう。これだと、銀行の負担(事務、ATMなど)が減りません」

   同じようにツイッターで話題になったのは、19年12月5日に報じられた、三菱UFJ銀行が長期間取引のない口座から年1200円の手数料を課すという検討案だ。20年秋以降に新たに口座を開設した預金者が対象で、口座を開いたにもかかわらず2年間出入金などの取引がなければ年1200円を取るというものだ。

   この際もツイッターのトレンドワードに上昇し、「解約する」「ありえない」といった反応の一方で、「海外でもこうした手数料は広まっている」などと肯定的な投稿も見られた。

三菱UFJは「休眠口座」に手数料徴収へ タダで口座持てない時代に?

   三菱UFJ銀行の検討案は、日本経済新聞(電子版)が「イブニングスクープ」と銘打って先行し、その後大手メディアが相次いで後追い報道した。ただ、今回のみずほ銀行と違って、三菱UFJ銀行は正式発表はその後も行っていない。広報担当者は21日のJ-CASTニュースの取材に、「まだ公には何もお知らせしていない」と話した。内情を全国紙の経済部デスクが明かす。

「三菱UFJだけでなく、メガバンクはどこも、顧客の口座を管理するのにかかるコストを少しでも回収するため、手数料を徴収したいのです。でも、これまでタダだったのにいきなり手数料を取るとなると、顧客からの反発も大きい。今回のみずほ銀行の、紙の代わりのデジタル通帳のように、代わりにどんなサービスを導入するかも顧客の理解を得るには大切です。だから、(三菱UFJは)まずメディアに書かせて反応を見て、今後慎重に発表するのでしょう」

   日本では、銀行口座開設や維持にかかる手数料がなかったこともあり、1人が複数の銀行に口座を開くケースが世界的にも多いとされる。その一部が使われないと、いわゆる「休眠口座」になるが、それでも口座維持のために銀行は人件費などのコストがかかるという。銀行は近年、長引く低金利で収益力が落ちており、こうした採算の合わない口座を少しでも減らしたいのが本音だ。今回のみずほ銀行の紙の通帳有料化も同様にコスト削減のための施策の一環だ。

   既に、りそな銀行は、2年間取り引きがない、残高1万円以下の口座を対象に年1200円(税抜き)の手数料の徴収を始めている。一部の信用金庫でも同様の手数料を導入している。

   銀行利用者にとっての関心は、こうした動きが今後、口座維持手数料の導入につながるかだ。前出の経済部デスクは言う。

「海外の銀行では、取引がなかったり口座残高が少なかったりする顧客から口座維持手数料を取るのは当たり前になっています。店舗を持たないネット銀行やキャッシュレス決済業者の浸透などで、金融業界の競争はますます激しくなっている。少しでも収益を改善させるため、日本のメガバンクでも今後少しずつ、口座の維持・管理にかかる手数料が課される動きが加速するでしょう」
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