三菱UFJは「休眠口座」に手数料徴収へ タダで口座持てない時代に?
三菱UFJ銀行の検討案は、日本経済新聞(電子版)が「イブニングスクープ」と銘打って先行し、その後大手メディアが相次いで後追い報道した。ただ、今回のみずほ銀行と違って、三菱UFJ銀行は正式発表はその後も行っていない。広報担当者は21日のJ-CASTニュースの取材に、「まだ公には何もお知らせしていない」と話した。内情を全国紙の経済部デスクが明かす。
「三菱UFJだけでなく、メガバンクはどこも、顧客の口座を管理するのにかかるコストを少しでも回収するため、手数料を徴収したいのです。でも、これまでタダだったのにいきなり手数料を取るとなると、顧客からの反発も大きい。今回のみずほ銀行の、紙の代わりのデジタル通帳のように、代わりにどんなサービスを導入するかも顧客の理解を得るには大切です。だから、(三菱UFJは)まずメディアに書かせて反応を見て、今後慎重に発表するのでしょう」
日本では、銀行口座開設や維持にかかる手数料がなかったこともあり、1人が複数の銀行に口座を開くケースが世界的にも多いとされる。その一部が使われないと、いわゆる「休眠口座」になるが、それでも口座維持のために銀行は人件費などのコストがかかるという。銀行は近年、長引く低金利で収益力が落ちており、こうした採算の合わない口座を少しでも減らしたいのが本音だ。今回のみずほ銀行の紙の通帳有料化も同様にコスト削減のための施策の一環だ。
既に、りそな銀行は、2年間取り引きがない、残高1万円以下の口座を対象に年1200円(税抜き)の手数料の徴収を始めている。一部の信用金庫でも同様の手数料を導入している。
銀行利用者にとっての関心は、こうした動きが今後、口座維持手数料の導入につながるかだ。前出の経済部デスクは言う。
「海外の銀行では、取引がなかったり口座残高が少なかったりする顧客から口座維持手数料を取るのは当たり前になっています。店舗を持たないネット銀行やキャッシュレス決済業者の浸透などで、金融業界の競争はますます激しくなっている。少しでも収益を改善させるため、日本のメガバンクでも今後少しずつ、口座の維持・管理にかかる手数料が課される動きが加速するでしょう」