モーリシャスに「油吸着材シート」を届けたい 日本企業がクラウドファンディング呼びかけ、支援400万円を突破

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   インド洋・モーリシャス沖で起きた貨物船の重油流出事故を受けて「油吸着材シート」を寄付した化学製品メーカー「エム・テックス」(東京都)は、モーリシャスへさらなるシートを送るため、クラウドファンディングサイト「Makuake」内のページで支援を呼びかけている。

   エム・テックスの担当者は「小さい会社なので、皆さまの力を借りながら、モーリシャスの人々の生活、環境の復興に協力できれば」と語った。

  • モーリシャス沖事故で「油吸着材」寄付の日本企業がクラウドファンディングを実施(画像はエム・テックス公式サイトより)
    モーリシャス沖事故で「油吸着材」寄付の日本企業がクラウドファンディングを実施(画像はエム・テックス公式サイトより)
  • モーリシャス沖事故で「油吸着材」寄付の日本企業がクラウドファンディングを実施(画像はエム・テックス公式サイトより)

佐賀・油流出事故では約19万枚を寄付

   事故を起こしたのは長鋪汽船(岡山県)の関連会社が所有し、商船三井が運行していた、ばら積み貨物船の「わかしお」。7月25日にインド洋に浮かぶモーリシャス沖で座礁すると、その後8月6日には船体のタンクに亀裂が入り、重油1000トン超が流出した。油の回収作業は難航し、モーリシャスへの甚大な環境被害が懸念されている。

   そこで動き出したのが、東京・大田区に本社を構えるエム・テックスだった。同社は「マジックファイバー」と呼ばれる特殊な繊維で水をはじき、油だけを吸い取る「油吸着材シート」を展開。19年8月に佐賀県で起きた豪雨による鉄工所の油流出事故では、約19万枚のシートを自治体に寄付し、事故の復旧に貢献した。

   「モーリシャス沖の事故を受けて、今回も何かお役に立てないか」(担当者談)。エム・テックスは、そうした思いからJICA(国際協力機構)に30センチメートル四方のシート約1200枚を寄付した。シート1枚あたり最大1リットルの油が吸着可能で、計算上は最大1200リットルの吸着が期待できる。

   シートは外務省、環境省、JICAのメンバーで構成される国際緊急援助隊の第2陣とともに19日に日本を発ち、モーリシャスへ向かった。担当者によると、実際に事故現場で効果が認められるようであれば「シートを追加で送ることを検討する」とした。

「本当はもっともっと早く支援できれば...」

   しかし、事故で流出している重油は1000トンを超える。日経電子版の8月19日の報道によれば、海に漂っている分はほぼ回収が終わったが、海岸などへの漂着分は難航しているという。

   そうした中、同社が呼びかけているのがクラウドファンディングを通じた支援だ。7月に「災害時の油流出事故から環境を守る寄付プロジェクト」として開始したが、モーリシャス沖の事故を受け、その支援額を吸着シートの送付に充てる方針へと変更した。

   目標額は1000万円だが、20日18時30分時点で400万円を超える寄付が集まっている。寄付者のコメントには「微力ながら応援させていただきました」「モーリシャスの美しい海が少しでも早く元に戻りますように」などの声が寄せられている。返礼には一般家庭向けの油吸着材「ベルサイユのわた」を用意したが、担当者によれば「もらえる吸着材もモーリシャスに渡してほしい」という声が多いことから、今後は「お礼の手紙」のみを返礼とするプランも用意するという。

   エム・テックスの担当者は「油はいかに早く吸着できるかという『スピード勝負』なので、本当はもっともっと早く支援できればよかった」と後悔をにじませる。それでも、

「『日本が関わっている』ということで、心を痛めている方がたくさんいらっしゃる。寄付が集まれば集まっただけ、モーリシャスへの支援をお送りできる。小さい会社なので、皆さまの力を借りながら、モーリシャスの人々の生活、環境の復興に協力できれば」

   と呼びかけた。

   クラウドファンディングは8月30日まで。

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