読み取れる「恐怖感」
鉄道・航空に比べると高速道路の交通量は減っていない。ここから、人々はある程度旅行を控えつつも、旅行のニーズ自体は消失したわけではないと考えられる。前出の渋滞の8割が首都圏で発生したという結果もNEXCO3社から発表されたが、長距離の遠出ではなく車での近距離の旅行を選択した人が少なくなかったとみられる。各地で感染者増加の報道が相次ぎ、一部の知事が独自に自粛要請や緊急事態宣言を行ったことで長距離の旅行を控える消費者心理が未だ根強い。
鉄道でも長距離列車に比べると、近距離特急の東海道線「踊り子」は前年比44%、外房・内房線の「わかしお」「さざなみ」が同44%に踏みとどまっているし、JR西日本の京阪神エリアは前年比56%の利用状況で同社の山陽・北陸新幹線より状況は良い。
もう一つ読み取れるのは、公共交通への恐怖感である。鉄道・航空が前年比7~8割減という大打撃を受けたが、不特定多数が集まり長時間乗る交通機関への忌避感も強くあるだろう。新幹線や飛行機より、少人数で乗るマイカーの方が安心できるという心理が、お盆の人々の移動状況の背景にあるようだ。
Go Toトラベルキャンペーンや鉄道・航空各社の破格の格安プランも展開されているが、交通機関が需要を取り戻すのは、コロナ感染状況が落ち着くだけでなく、密になりやすい公共交通への忌避感が薄れてからの話になりそうだ。