「カミツキガメを池に放した」都内で通報 炎天下4時間の大捜索も姿見えず...「愛情もって飼育して」

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   カミツキガメが池に放流されたという情報が――。

   2020年8月15日、東京都足立区はこうした掲示とともに区内にある「元淵江公園」の池を封鎖し、カメの「大捜索」を行った。35度を超える炎天下、4時間に及ぶ格闘の末に捕獲されたのは......。

  • 炎天下で「カメ」大捜索、見つかったのは…(画像は足立区提供)
    炎天下で「カメ」大捜索、見つかったのは…(画像は足立区提供)
  • 炎天下で「カメ」大捜索、見つかったのは…(画像は足立区提供)

前日夕に通報、朝8時から緊急捜索

   8月14日17時30分頃、元淵江公園で「子どもがカミツキガメを池に放した」という通報が足立区に寄せられた。カミツキガメはアメリカ大陸を原産とするカメで、その攻撃性や生態系への被害の大きさが特徴。外来生物法に基づき、飼育や放出が原則禁じられる「特定外来生物」、さらには日本生態学会が定めた「日本の侵略的外来種ワースト100」にも指定されている。

   通報を受け、公園内にある区の施設「足立区生物園」のスタッフが現地に確認に向かったものの、本当にカミツキガメが放流されたかはわからなかった。そこで区は8月15日に公園内の池を封鎖。朝8時からカメの「大捜索」を開始した。

   区職員と指定管理者職員の合計15人程度が池に入り、「追い込み方式」でカメの捕獲を試みた。気象庁のデータによれば、この日の都内は朝から30度を超える暑さ。12時には35度を超えた。職員たちは炎天下の中、適宜休憩を取りつつ4時間ほどカメの捜索を行った。

   その結果、当初通報を受けた「カミツキガメ」は見つからず。15時頃から新たに籠ワナと置き針をしかけ、最終的に捕獲したのは「ミシシッピアカミミガメ」6匹、「クサガメ、ハナガメの交雑種」1匹だった。

まだカメがいる可能性「考えられる」

   カミツキガメが見つからなかったにもかかわらず、なぜ放流されたという通報を受けたのだろうか。区の担当者によれば、「放流した人物が『カミツキガメ』(を放した)と周囲に話していたこと」「通報者が放流されたカメを目撃しており、ミシシッピアカミミガメとの違いを明確に述べたこと」を理由に「カミツキガメの可能性が高いと判断した」という。ただ、最終的に「本当にカミツキガメが放流されたかは未確認」のままだ。

   一方、今回見つかった「クサガメ、ハナガメの交雑種」もカミツキガメ同様、特定外来生物に指定されている。また、ミシシッピアカミミガメは特定外来生物でこそないものの、積極的な防除の対象となる「緊急対策外来種」に指定されている。

   環境省の「アカミミガメ防除の手引き」によれば、アメリカ大陸原産のアカミミガメは1950年代後半から幼体が国内に多数輸入。「ミドリガメ」の通称でペットとして安価・大量に流通したものの、成長して飼いきれなくなった個体が野生化し、各地で生態系に影響を与えてきた。

   元淵江公園の池には、普段からフナやコイ、モツゴといった在来種が生息。一方、アメリカナマズやアメリカザリガニなど、人の手によって持ち込まれた外来種も確認されているという。区の担当者は、池の中に外来種のカメが残っている可能性について「池の水を全て抜いて調べたわけではないので、正確なことは言えない」としつつ、「可能性は考えられる」と答えた。

「生きものを飼うなら最後まで責任を持ってほしい」

   公園内にある足立区生物園の公式ツイッターは8月16日、区が実施した「カメ」の大捜索の様子を報告するとともに、

「生きものを飼うなら最後まで責任を持ってほしいですね。たった一匹の放流でもその場の環境が大きく変わってしまうこともあるので」

   と注意喚起を行った。

   投稿には1万リツイートを超える反響があり、「池や川に放すことが動物のためって勘違いしてる人多い」「少しでも思いとどまる飼い主、飼おうとしている人が減れば」など共感の声が寄せられた。

   足立区は公式サイト上で、外来生物被害予防三原則「入れない、捨てない、拡げない」を掲示し、外来生物についての正しい理解と対応を求めている。区の担当者はJ-CASTニュースの取材に対し、「『終生飼育』という言葉があるが、在来・外来に関わらず、生きものが命を全うするまで、愛情をもって飼育をして欲しい」と呼びかけた。

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