「リベラルなら声あげて」国民・山尾志桜里氏の思い 超党派で取り組む「香港国安法問題」インタビュー

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国安法に反対する議員署名、アジアでは日本が一番多かった

―― 5月末には、国安法に反対する署名活動が行われ、与野党の多くの国会議員が署名しました。

山尾: 最初は、国会決議ができないかということで自民党議員にも相談していましたが、こういった決議は全会一致が原則で、全政党が賛同しないと難しく、少なくとも当時の与党としてはなかなかハードルが高いことが分かりました。そこで一度政党の枠を外して、各議員の意見表明としての署名を呼びかけたところ、100人以上集まりました。これはアジアでトップ、かつ欧米を含めた国際比較でもかなり高い水準だったので、元々署名を呼びかけていた国際的な運動体の方でも、「嬉しい驚き」で受け止められたようです。こういった経緯もあって、その頃同時に動いていた「対中政策に関する列国議会連盟」(IPAC)のスターティングメンバーの共同議長として日本にも参加してほしいという連絡を私の方にいただき、野党からは私が参加し、与党からは中谷さん(中谷元・元防衛相)にお願いしてスタートしたところです。

―― 7月に発足した「対中政策に関する国会議員連盟」(JPAC)の規約では、IPACと「連帯」することをうたっています。どういった活動を想定していますか。

山尾: IPACと連携する形で日本の議連を作ろうということで発足したのがJPACです。JPACはIPACの下部組織ではありませんが、連携しながら日本としての対中政策を考えていきます。実はIPACの中でも(各国内での議連が実際に立ち上がるのは)JPACが最初の動きだったので、活動を広げていく動きとしてIPACからも関心を持って見られています。日本のJPAC立ち上がりがそれぞれのIPAC加盟国における同様の動きに広がっていく契機になりそうです。

―― 日本が一番早かったというのは珍しいですね。JPACとしては、具体的にはどんな活動を考えていますか。

山尾: 珍しいですよね。IPACにはEU含めて17か国の共同議長国がありますが、日本はアジアでは唯一の共同議長国なので、アジアにもっと加盟国を広げていくために重要な役割を担わなければならないと思っています。JPACとしては、7月29日の設立総会で、喫緊の課題として(1)緊急避難が必要な香港人を受け入れるライフボート(救命ボート)政策(2)日本政府が中国政府、香港政府と結んでいる捜査共助条約・協定の問題(3)「マグニツキー法」と呼ばれる人権制裁法の日本版の議員立法、の3つについて提起しました。さらに、次の総会までには、経済安全保障、特にサプライチェーンにおけるデューデリジェンス(人権保障などのルールに適合しているか調査すること)の問題も取り上げたいと考えています。具体的には、ウイグル地区での強制労働力を用いたサプライチェーンに日本企業が関与しているという指摘もあるので、そこを何か非難するということではなくて、日本としても国際社会と連携してルールメイキングを進めていくべきだと思っています。
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