「リベラルなら声あげて」国民・山尾志桜里氏の思い 超党派で取り組む「香港国安法問題」インタビュー

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   香港での反体制的な言動を取り締まる「香港国家安全維持法」(国安法)の成立・施行から1か月半。民主活動家の周庭(アグネス・チョウ)氏や、中国に批判的な論調で知られる「蘋果日報」(アップル・デーリー)創業者の黎智英(ジミー・ライ)氏が国安法違反の容疑で逮捕されるなど、香港での言論・表現の自由は早くも危機を迎えている。

   こういった状況を受け、香港市民の保護を目指す超党派の「対中政策に関する国会議員連盟」(JPAC)が2020年7月29日発足。人権制裁法の議員立法や、緊急避難が必要な香港人の受け入れ(救命ボート)政策を推進する。議連で中谷元・元防衛相ともに共同代表を務める山尾志桜里衆院議員に、その狙いを聞いた。(聞き手・構成:J-CASTニュース編集部 工藤博司)

  • 国民民主党の山尾志桜里衆院議員。「対中政策に関する国会議員連盟」(JPAC)の共同代表を務めている
    国民民主党の山尾志桜里衆院議員。「対中政策に関する国会議員連盟」(JPAC)の共同代表を務めている
  • 国民民主党の山尾志桜里衆院議員。「対中政策に関する国会議員連盟」(JPAC)の共同代表を務めている

アジアの実力ある人権国家として国際社会で存在感発揮すべき

―― 山尾議員はこれまで「立憲的改憲論」といった憲法をめぐる議論で知られますが、19年末から香港をめぐる問題での活動が増えてきた印象です。そもそも、香港問題への取り組みを始めたきっかけは何ですか。デモ隊に対する警察の発砲がきっかけですか。

山尾: もちろん(14年に起きた民主化運動の)雨傘運動の時から香港の状況は関心を持って見ていましたが、やはり19年の逃亡犯条例、そこから5大要求(編注:逃亡犯条例に反対するデモ隊は(1)改正案の完全撤回(2)市民活動を「暴動」とする見解の撤回(3)デモ参加者の逮捕、起訴の中止(4)警察の暴力的制圧の責任追及と外部調査実施(5)香港政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官の辞任と民主的選挙の実現、の5つを求めていた)。その5大要求は、私からすれば、きわめてまっとうな市民運動の主張でした。にもかかわらず、19年秋ぐらいから香港警察が圧倒的な暴力で市民運動に対する排斥活動を行っています。この一連の流れを見ていて、(1)人権の普遍性を重視する以上、他国のことであれ、内政では治癒できない国家による人権弾圧に対しては、国際社会の一員としてしっかりと指摘し是正を求めるべきであること(2)中国に対して指摘すべきは指摘することができるアジアの国はそう多くないなかで、日本が、一定の経済力と防衛力を背景にアジアの実力ある人権国家として国際社会で存在感を発揮していくことが国益に叶うこと、という2点から、日本の国会としてしっかり発信をすべきだと考えました。では何ができるかと思ったときに、私は法務委員会に所属しているので、まずは法務大臣に尋ねてみよう、というのがスタートです。特に19年秋以降は、日本のネット上でも、香港情勢について様々な情報が発信され意見交換もされている中で、日本の国会におけるそれは極めて低調でした。そのギャップを感じていたので、国会議員として公的な場で主張して政府とやり取りしようと質問に臨みました。準備のためには、様々な委員会で過去にどんな質疑があったかを検索するわけですが、香港に関する質疑はほとんどありませんでした。それにも少し衝撃を受け、先鞭をつけたいという思いで質問しました。

―― それが19年11月15日の法務委員会でした。森雅子法相がデモに対して警察が発砲したことに対する見解を問われ、
「一般論として申し上げますと、武器を持たない丸腰の市民に対して公権力が実弾を発砲するということは大変憂慮すべき事態」
と答弁しました。

山尾: 法相は「憂慮すべき」だということをおっしゃっていましたが、そこから先は「外交案件」であって「法務案件」ではない、といったスタンスなんですよね。法務大臣の答弁として残念でした。こういう問題は外交案件でもあり法務案件でもあって、外交上外相が発信できないところを、普遍的な法の番人として法相が発信する、という役割分担をうまくやってほしいという思いがありました。なかなか(法相の)森さんは、そこにまだ意識がいっていないように感じました。
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