今後の成長のカギ握る「商品力」
もう一つの焦点が、「日本流」の経営の浸透だ。大手3社による寡占化が進む日本と違い、米コンビニ業界は総店舗が15万店、首位のセブンでもシェアは6%程度で、広い国土とあって、日本のようにきめ細かい効率的な配送は難しい。そこで、重要なのは、やはり商品力。ガソリンスタンド併設が多く、ガソリンを入れる際の「ついで買い」が多いともいわれるだけに、より魅力的な商品をいかに増やしていくかが、今後の成長のカギを握るだろう。
この点についてセブンは、スピードウェイでの商品売り上げの増加などによって、2025年2月期には4億7500万~5億7500万ドル(約500億~600億円)の利益を押し上げるシナジー効果を見込んでいる。
いろいろ課題はあるが、国内市場が成長鈍化する中、海外強化は必然だ。2019年末時点でコンビニ主要7社の国内店舗数は5万5620店、年間売上高は11兆円にまで拡大してきたが、近年は主要都市の好立地が減り、少子高齢化の進展もあって、店舗数も、1店舗当たりの売上高も頭打ちの状態だ。店舗従業員の人手不足、配送トラックのドライバー不足による物流コスト上昇などの逆風も吹く。今回の買収でセブンの営業利益に占める北米事業の割合は24%から33%に増えるというのは、国内の低迷の何よりの証明ともいえる。