ブログサービス「note(ノート)」で利用者のIPアドレスが漏えいした問題で、被害にあったバーチャルユーチューバー(VTuber)の楠栞桜さんは2020年8月14日、自身に関する一部書き込みに対し、事実ではないとして法的措置をとる可能性を示唆した。
楠さんをめぐっては、今回の漏えいでさまざまな憶測や誹謗中傷が飛び交っている。
「応援して下さっている皆様を裏切るような事実は一切ございません」
noteを運営するnote株式会社(東京都港区)は14日、記事投稿者のIPアドレス(インターネット上の「住所」)が、一時的に第三者に閲覧できる不具合が起きたと発表した。
現在は修正済みで、同社は「みなさまの大切な情報をお預かりしているサービスにも関わらず、IPアドレスが閲覧できる状態だったこと、そして、みなさまに大きな不安や疑念を感じさせてしまったことについて、深くお詫び申し上げます」と謝罪した。
この騒動で大きな被害を受けたのが、楠さんだ。
楠さんをめぐっては、数か月前からある憶測が広まっていた。匿名掲示板で楠さんを称賛したり、他のVTuberを批判したりする書き込みを頻繁に行っている人物がおり、これが楠さんではないかと注目を集めた。
楠さんは7月31日にnoteで「現在一部で騒がれているような書き込みや、応援して下さっている皆様を裏切るような事実は一切ございません」と否定している。
そうした状況で今回の問題が発覚。「掲示板に書き込んでいた人物と楠さんのnoteのIPアドレスが一致している」との主張がSNSで流れ、同一人物ではないかとの見方を深める書き込みも相次いだ。
note社「同一人物であると断定できるものではありません」
note社は前述の仮説に警鐘を鳴らす。
「一般的なIPアドレス単体から、利用者の住所氏名やメールアドレス等を割り出すことはできません。回線種別によっては、会社名や建物名等が判明する可能性は存在しますが、それ以上の個人まではIPアドレス単体から紐づくことはありません」
「またIPアドレスは、適宜変更されます。たとえば街の飲食店やネットカフェなど同時に多数のユーザーで共用されたり、他のユーザーに再利用される場合があります。そのため、回線種別や接続時刻等にも依存しますが、IPアドレスの一致をもって、投稿者が同一人物であると断定できるものではありません」
楠さんも14日にnoteを更新し、「私が皆様を裏切るような書き込みをしたという事実はありません。また、同様に家族にも話を聞いたところ、そのような事実はないということでした」とあらためて憶測を否定した。
憶測を広めている人物について調査を進めているとも明かし、「note株式会社様からもご連絡を頂き、note株式会社様の弁護士の方を交えてお話させて頂いたところ協力して頂けるというお返事を頂きましたので、今後とも進めて参ります」と報告した。
note社は「今回の不具合により、名誉毀損などの被害をこうむったクリエイターに対しては、ご本人と連携して法的措置を含めてnote社がサポートいたします」と宣言し、楠さんのツイッターアカウントに「IPアドレスが外部から確認できてしまう不具合に関する、楠さまへの誹謗中傷につきましては、弊社の弁護士を交えて協力させていただく予定です」とリプライ(返信)を送っている。