男らしい男の代表としてアクション映画やテレビの刑事もので大活躍、石原プロモーションの社長も長く務めた俳優の渡哲也(本名・渡瀬道彦)さんが2020年8月10日、肺炎のため亡くなった。78歳だった。14日、石原プロが公表した。現在は同プロ相談取締役。俳優だった故・渡瀬恒彦さんは3歳年下の弟。テニスの錦織圭選手は遠縁にあたる。
「第二の石原裕次郎」というキャッチフレーズでデビュー。100本近い映画に出演し、テレビの人情ドラマでも存在感を見せた。歌手として「くちなしの花」などのヒットも飛ばした。
角刈り、サングラスがトレードマーク
1941年、父親の転勤先の島根県に生まれた。その後、父の故郷の淡路島に移り、小中学校時代を過ごす。兵庫県内の全寮制の進学高校から青山学院大に進学。空手部員だった。
64年、スカウトされ日活入社。65年、「あばれ騎士道」で主演デビュー、早々とエランドール賞新人賞を受賞した。66年、鈴木清順監督の名作「東京流れ者」などに主演し、若手のヒーロー役のとして地歩を固めた。また、人気絶頂の吉永小百合さんと「愛と死の記録」で初共演、シリアスな演技でも評価され、ブルーリボン新人賞を受賞した。被爆して白血病で亡くなる青年と、後追い自殺する女性の悲劇を描いた芸術祭参加作品だった。
その後はアクション映画を中心に、無頼・アウトロー路線で人気を博したが、日活がロマンポルノ路線に転じたことなどから退社。71年、心酔していた石原裕次郎さんが率いる石原プロに。テレビにも積極的に登場するようになる。大河ドラマのほか、「大都会」シリーズ (76年~79年) 、「西部警察」シリーズ (79~84年)などの刑事ドラマで圧倒的な存在感を見せつけ、ファン層を広げた。角刈り、サングラスがトレードマークだった。
このほか「浮浪雲 」(78年4月~9月)、「私鉄沿線97分署」(84~86年)などにも主演した。
歌手としては「東京流れ者」の主題歌を歌ったほか、「くちなしの花」が累計150万枚を超える大ヒット、74年と93年のNHK紅白歌合戦に出場した。