真っ直ぐな生き方を貫く
近年は、家族や夫婦愛などをテーマにしたヒューマンな作品が多かった。12年にTBSが制作した日中国交正常化40周年記念のドキュメンタリードラマ「強行帰国~忘れ去られた花嫁たち~」では、中国孤児の定住に尽力した日本人浪曲師、国友忠役を演じた。朝日新聞の取材にこう語っている。
「中国戦線で日本兵だった国友さんが、戦後、私財をなげうって残留婦人の帰国を裏方で支える。他人のために生きるその姿に、共感した」 「人間の生き様、男としての生き様を感じさせる役ならば、役の大小にかかわらず、善人悪人にかかわらず、今までやらせていただきました」
自身も真っ直ぐな生き方を貫いた。日活から、経営危機がうわさされていた石原プロにあえて移り、敬愛した石原裕次郎さんの闘病時は、最側近として終始付き添った。「もしものときは、自分も殉じたい」と漏らしたほど。
阪神大震災や東日本大震災では、石原プロの俳優たちを引き連れ、被災地での炊き出しにかけつけた。毎日新聞社が1996年から始めた小児がん征圧キャンペーン「生きる」には率先して協力し、小児がんの子どもたちを励ますイベントに出演し続けた。がん生還者ということだけではなかった。4人兄弟のうち、長男の兄と4男の弟と幼少のころに死別するというつらい経験もしていた。