「旅館で出た夕食が多すぎる」という内容のツイートが炎上したことをきっかけに、確かに料理が多めのところは多いとの声も出て、ネット上で様々な推測がされている。
日本らしいおもてなしなのか、あるいは過剰なサービスなのかについても、議論になっているようだ。
「要望で料理を減らせるように」「日本料理だから品数多い」
炎上したツイートは、政府の「GO TO トラベルキャンペーン」を利用して、少し高い旅館に泊まったところ、多すぎて食べ切れない、廃棄が前提ではないか、というものだ。
2020年8月10日に、天ぷらやお吸い物などが並んだ食卓の写真付きで投稿され、関係者も擁護するようなツイートをしたため、是非を巡る議論に拍車がかかった。ヤフー・リアルタイム検索のトレンドランキングで、関連ワードが一時次々に上位に入る騒ぎになった。
ツイートに対しては、旅館を揶揄するような内容はどうなのかと疑問や批判が相次いだが、その一方で、料理を多めに提供するところが多いのは確かではないかとの声も多かった。
大阪のホテルスタッフだというツイッターユーザーは11日、話題になった旅館の夕食について、適正な品数だとの見方を示したうえで、多めだと見える理由も解説した。それは、要望があったときに、料理を減らせるように多めになっているという。残った分は、従業員のまかないにするともした。
また、栃木県内のある温泉旅館の女将は14日、日本料理は少量ずつたくさん皿数をそろえるのが基本なのでどうしても品数が多くなるとの見方を明かした。少しずつ色々楽しんでほしい、というのが旅館の考え方だという。
旅館協会「豪華な食事の要望で、日本のおもてなしに」
このほか、料理が多めな理由として、旅の非日常感を演出するため、礼儀として習慣化している、夜食がなくても済むから、といったものが挙げられている。
多めの料理については、ツイッター上などで、様々な意見が出ている。
「人によって満足できる食事量は違うので、何も言わなければ多くなるのは仕方ない」「『ご飯は結構です』などと事前に伝えれば、フードロスは出ない」と理解を示す声が出た。一方で、「料理構成は少数精鋭でいい」「食事の質と量を考えるべき時」「これからは量を選べる旅館が出てきても良さそう」と改善を望む意見もあった。
料理が多めとされることについて、日本旅館協会の担当者は8月14日、J-CASTニュースの取材にこう話した。
「宿によって理由はバラバラだと思いますが、日本のおもてなしとして、満足していただけるようにそのような傾向になったのでしょう。1泊2日の旅行が多いので、日常を離れて豪華な食事をというお客さまの要望もあって今の形になったと思います。リクエストで量などを調整できますので、臨機応変に対応できるメリットもあります」
一方で、食品ロスと言われている中で、無駄にならないようにすることも大切だとした。
「事前に量を少なくするよう伝えていただかなければ、それなりの量が出てきてしまいます。公式サイトに料理の写真がありますので、確認していただければと思います。旅館によっては、別料金にして、追加注文を用意しているところもあります。また、宿ではなく食事処で食べるとして、朝食だけや素泊まりにする方法もあるでしょう。インバウンドのお客さまは、泊・食は別にして、飲食店や居酒屋で地元の人たちと交流していましたね」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)