国内の自動車メーカー7社の2021年3月期連結決算の業績予想が出そろい、明暗が分かれた。連結決算で最終黒字を見込むのはトヨタ自動車、ホンダ、SUBARU(スバル)の3社だけだ。いずれも海外販売が好調なメーカーで、3社とも20年8月から国内外の生産体制が、ほぼ通常稼働に戻ると予想している。
乗用車を中心とする国内7メーカーのうち、日産自動車、マツダ、三菱自動車は最終赤字を予想。この3社は海外の一部市場で利益を出したとしても、構造改革や業績不振に伴う国内外の損失を穴埋めできない状況に追い込まれそうだ。
2021年3月期の最終損益、3社は黒字予想
スズキは「当社が主力とするインドでの新型コロナウイルス感染が拡大しており、現時点で見通しを合理的に算出することが困難であることから、連結業績予想については引き続き未定」としている。
スズキはこれまで好調だったインド市場への依存が大きいことが、今回はリスク要因となっている。
7メーカーの2020年4~6月の最終損益は、トヨタとスズキを除く5メーカーが赤字となり、新型コロナの影響の大きさを裏づけた。日本メーカーだけでなく、フォルクスワーゲン、GM、FCA、ダイムラーなど海外の主要メーカーの多くも4~6月は最終赤字だった。
2021年3月期の最終損益の業績予想は、トヨタが7300億円、ホンダが1650億円、スバルが600億円の黒字を予想している。
これに対して、日産は6700億円、三菱自は3600億円、マツダは900億円の最終赤字を予想する。勝ち組のトヨタ、ホンダ、スバルも最終黒字が前年の6割以上も減少する見通しだ。
トヨタの業績予想には子会社のダイハツ工業と日野自動車を含んでいる。トヨタは世界の自動車市場について「2020年4月から6月を底に徐々に回復し、年末から21年の前半にかけて、前年並みに戻る」と予測する。
トヨタは20年6月以降、中国市場で富裕層を中心にSUVが好調で、グループの世界販売台数を当初の890万台から910万台に上方修正した。