選管も裁判所にも「ダメ出し」され...
今回の混乱の発端は、区長のマンション疑惑だ。少しおさらいする。
石川区長が次男らと共有する高級マンションの1室(1億円超)が、一般には販売されず地権者や得意客に提供される「事業協力者住戸」だったことが判明。区長らは地権者ではなく、マンションは建設時に区の許可を受けて高さ制限が緩和されたことから、区議会で「規制緩和の見返りに便宜供与を受けたのではないか」と追及されていた。
区長は、地方自治法100条に基づく調査権限を持つ区議会の委員会(百条委員会)で証人尋問に応じたが、この際に虚偽の証言をしたなどとして、区議らが区長の刑事告発を求める議案を提出し、賛成多数で可決された。
これに反発した区長が刑事告発の議決は「実質的な不信任の議決と認められる」と主張し、区議会の解散通知を提出したのだ。その後、区長は「議会はもう存在しない」として欠席を続けていた。
そんな中、区選管は7月31日に臨時会合を開き、区長による区議会の解散通知について「適法な手続きを欠き無効」と判断。地方自治法上、解散は議会による不信任議決が前提条件だが、刑事告発の議決は「区長の不信任議決に当たらない」と結論付けた。
それでも区長は「解散が有効か無効かは司法の場にゆだねるべきもの」と強気の姿勢だったが、前述のとおり区議が申し立てた解散通知の効力停止が裁判所に8月7日に認められたため、区長は「八方ふさがり」の状態になった。
石川区長は12日の議会でも、「今回の司法の判断は異例の速さで進められ、行政の業務に停滞を許さないという司法の強いメッセージであると受け止め、これを真摯に受け止めたいと思います」と発言。区選管、東京地裁からも「ノー」を突き付けられ、「万策尽きた」とも言える。