「日航ジャンボ機事故」直後の「人事」暗闘 消えた「社長候補」...中曽根文書から読み解く

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「あれだけの事故を起こしたのだから、人事は大幅に及ぶのは当然だ」

   それ以降、政府・与党からは町田氏昇格への異論が相次ぐ。「8/19夜 山拓」では、「これはオレの管轄外の話だ。だがいえるのは、常民の目からみて、それだけでおさまりますか、ということだ。まだ流動的だろう。国民の反応をみているところだ」。「8/27 藤尾 各社」は、さらに踏み込んで自民党の藤尾正行政調会長とみられる人物が

「あれだけの事故を起こしたのだから、人事は大幅に及ぶのは当然だ。副社長、整備担当専務などについても一たんは辞表を出してもらわねばならんだろう」

と指摘している。

   この頃、町田氏が遺体安置所で扇子片手に椅子に座った写真が、写真週刊誌に批判的に報じられ、中曽根氏の逆鱗に触れた。このこともあって、町田氏は失脚し「順送り人事」は消えたとの見方が広がった。

   9月になると、後に後任の社長に就任することになる山地進氏の名前も浮上しはじめる。山地氏は運輸省出身で前総務庁事務次官。85年7月に常勤顧問としてJALに入ったばかりだ。山地氏は51年入省なのに対して、町田氏は運輸省の前身にあたる逓信省に42年入省で、町田氏の方が9年先輩だ。こういったことを背景に「9/12 鹿野交通部会長」のメモでは、こんな声ももれる。後に農水相などを歴任することになる、鹿野道彦氏の発言のようだ。

「運輸省としては町田副社長の昇格という小幅人事でやりたいとの希望を持っているが、それでおちるかどうかは自信を持っていない。一説には山地進(元総ム副長官、初代総ム庁次官)の線も捨てがたい。彼は後藤田、瀬島(編注:後藤田正晴氏、瀬島龍三氏)も認める人物。ただ運輸省内には山地よりも町田が先輩(運輸省出身)なので順番を考え抵抗はある」
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