島根県松江市の立正大淞南高サッカー部で発生した新型コロナウイルスの大規模クラスター(感染者集団)をめぐり、ネット上で憶測や誹謗中傷が相次いでいる。
他県に遠征
松江市は2020年8月10日、立正大淞南高サッカー部の寮で集団感染が起きたと発表した。サッカー部、野球部の生徒や、教員など計96人の感染がわかった。
最初に部員が発症したのは8月5日で、同日中に一人部屋に移した。翌日には19人が発症し、7日に学校が保健所に連絡した。
同高の北村直樹校長は11日の会見で、「生徒の落ち度ではなく、学校としての感染症対策の不備に起因している」と説明。寮内では換気をこまめにするなど基本的な対策には努めていたが、不十分だったとしている。
サッカー部は7月~8月にかけて、大阪府、鳥取県、香川県に練習試合で遠征していた。学校のマイクロバスで移動し、大阪では1泊、鳥取、香川両県は日帰りで往復した。
遠征先の学校ではPCR検査
今回のクラスター発生を受け、SNS上では「感染した事に謝罪する必要はない」「こんな時期に遠征する必要あるか?」などさまざまな声が寄せられた。
8月5日の学校のブログ(現在は削除)も拡散している。野球部などの生徒がマスクをせずに握手や抱擁をしたり、メガホンで応援したりする様子が写真とともに紹介されており、 まとめサイトなどで否定的に取り上げられた。
北村校長は「誹謗中傷を大変危惧しており、生徒やそのご家族、教職員とその家族、学校関係者への人権の尊重と個人情報の保護にご理解とご配慮をお願いする次第です」と要望している。
なお、香川県によれば、立正大淞南高と対戦した県内4校のサッカー部について、部員142人と教員ら13人の計155人を自宅待機とし、PCR検査を行う予定だとした。すでに発熱などの症状を訴えている人もいるという。
香川県選出の玉木雄一郎・国民民主党代表はツイッターで、「香川県内4校のサッカー部の生徒や教員に対する偏見や差別を広げないように是非ともお願いします。時にコロナより怖いのは人の心。香川県民の皆さんのみならず、全国の皆さんにも切にお願いしたい。接触者や陽性者に対する差別・偏見は絶対に許されません」と警鐘を鳴らしている。