「バーター」ではもう解決できない?
川勝知事の真意について、静岡空港の真下を通る東海道新幹線に、新駅(地下駅)を建設することが狙いという「リニア・新幹線バーター論」も根強くささやかれるが、水問題をこれだけ強く主張してきただけに、「もはや単純な取引をするわけにはいかない」(大手紙経済部デスク)との見方が一般的。
川勝知事が藤田次官との会談で、自然保護とリニア実現の両立を図る考え方の1つとして、静岡県を迂回するルートへの変更を、静岡県議らの意見として持ち出したことに注目する関係者もいる。
JR東海の2020年4~6月期の連結決算は、売上高が1287億円と前年同期比73%減り、本業のもうけを示す営業損益が836億円の赤字(前年同期は2062億円の黒字)に転落するなど、新型コロナの影響は甚大。ウィズ・コロナではデジタル化の進展とも相まって、遠距離移動が減る可能性があるほか、外国人観光客の回復も見通せない。開業遅れによる建設費負担も加わり、採算面の見直しを迫られる可能性もある。
JR東海にはそう長い時間が残されているわけではない。