世界的に終息が見えない新型コロナウイルスの流行。一方、日本も含めて世界的に少しずつ日常生活に戻ろうとしている。
今回はヨーロッパの鉄道時刻表をまとめた刊行物『ヨーロッパ鉄道時刻表』2020年夏号(European Rail Timetable社)から東ヨーロッパの鉄道の現状をお伝えする。
正常に戻りつつある鉄道事情
結論から先に書くと全体的に東ヨーロッパの鉄道は正常に戻りつつある。チェコでは3月14日から国際列車が運休し、国内の列車も3月17日から大減便となった。4月26日からは通常ダイヤに戻ったが一部の列車に運休が発生している。
個人的に興味深いのはコロナ禍の中でありながら、チェコのプラハとクロアチアのリエカを結ぶ臨時夜行列車が私鉄「レギオジェット」によって運行されていることだ。この臨時列車はリエカ駅でアドリア海に面する観光地へ向かうバスに接続している。 また、ウィーン(オーストリア)、ブダペスト(ハンガリー)、プラハとワルシャワを結ぶ夜行列車では6人1室の「クシェット」が連結されなくなった。
ポーランドもほぼ通常ダイヤに戻っているが、ワルシャワ~クラクフ、ワルシャワ~ウッチ~ブロツワフなどの主要ルートでは一部の優等列車(EIP、IC、TLK)が運休している。
まだ正常に戻らない国際列車も
しかし、未だに正常に戻っていない国際列車もある。それが東ヨーロッパ諸国とロシアを結ぶ国際列車である。3月頃からロシア鉄道が運営するロシア~ヨーロッパ間の国際列車は運休が続いている。8月1日から航空機による国際線が一部再開されたロシアだが、国際列車の再開は遅れる模様だ。
また、旧ソ連諸国のウクライナ、モルドバへの国際列車も運休が続いている。同じヨーロッパといえども、ドイツなどの西欧諸国と比べると医療体制が整っていない両国にとって、外国からの新規感染者は脅威と言える。
なお、2020年8月5日現在、日本語版の『ヨーロッパ時刻表』2020年夏号は出版されておらず、European Rail Timetable社のホームページから電子版を購入することができる。
今後、新型コロナウイルスの感染状況によっては国際列車を中心にダイヤを変更する可能性があるため、乗車券を購入する際は各鉄道会社のホームページを確認することをおすすめする。
(フリーライター 新田浩之)