「知ってほしい」こと
KAKOさんは6年前、肺、下咽頭、食道にがんが見つかり、手術と抗がん剤治療を受けた、がんサバイバー。手術で肺は右下葉を摘出、下咽頭と食道は全摘出した。甲状腺、リンパ腺、声帯も切除し、永久気管孔をあけているため、発声に障害がある。抗がん剤治療は2クールと、その後1年間在宅で受けた。
その間も腸閉塞などで手術と入退院を繰り返している。嚥下障害が残り、リハビリをしながら、「腸瘻という経管栄養で命を繋いでいます」。漫画に描いたとおり、この腸瘻にガーゼが必要となる。水分補給も合わせると1日18時間は点滴棒の世話になる。薬は一生飲み続けなければならない。「私は生きてるだけで、丸儲けです(笑)」。KAKOさんはダイレクトメッセージを通じたJ-CASTニュースの取材にそう答える。
3月にはガーゼが店頭からなくなり、今回うがい薬がなくなった。誰かが過剰に購入してしまえば、それを本当に必要としている人々に行き渡らなくなる可能性がある。KAKOさんは今回、店頭で空の棚を見た時、「失望ですかね。もう慣れきってしまいました。またかと...」と諦めに似た思いを抱いた。
「元気で動ける方が、朝から店頭に並び、必要以上に買って帰ります。子供を連れた方や共働きの家庭、私の様な病人は動けませんからね」
夫と2人の子供とともに暮らし、闘病と家族生活のブログ発信を続けている。漫画を交え、親しみやすく率直な言葉を用い、時にはコミカルな表現も。そんなKAKOさんは今回の漫画をツイッターに投稿した際、「取り急ぎ 怒りを込めて 描きました どうか 思いが伝わりますように」と書き添えていた。誰に対し、どんな「怒り」があったのだろうか。最も伝えたかったことは何だったのか。
「よくよく考えてみるに、『怒りを込めて』と記しましたが、私は誰にも怒っていませんでした」というKAKOさん。自身の投稿をこう振り返った。
「大阪府知事にも、テレビやコメンテーターの方にも、買占め行為に走る人や転売業者にも、怒ってなどいません。彼らは彼らの仕事をしただけに過ぎないのかも知れません。ただ、漫画にも書いた『健康な方が考えもしない様な病気や症状があり、その病気をケアする為に、健康な方が買い占めた商品を、日々必要として命を繋いでいる人が居るという事を知って欲しい』ということを、具体的に感じて欲しかったんだと思います」
(J-CASTニュース編集部 青木正典)
取り急ぎ 怒りを込めて 描きました
— KAKO (@isinnkodesu) August 6, 2020
どうか 思いが伝わりますように pic.twitter.com/PFgF4nf6X1